皆さん、様々なシーンで何気なく「了解しました」を使っていると思います。
- その使い方、合っているでしょうか?
- 正しく理解しているでしょうか?
4月から社会人になった方も、何年も社会人を経験している方も、「了解しました」の正しい使い方を勉強しましょう。
このページの目次
意味と使い方
「了解」という言葉を辞書には、「事情を思いやって納得すること」「理解すること」「のみこむこと」と掲載されています。
「する」の丁寧語が「します」、その過去形が「しました」なので、「了解しました」=「理解しました」という意味の丁寧語ということになります。
ビジネスシーンでの用語としての使用例
「了解しました」をどのようなシーンで使うのが適切なのでしょうか。
いくつか使用例をあげますので、普段の皆さんの状況に合わせてみてください。「了解しました」より「了解いたしました」の方が丁寧になるので、こちらで上げておきます。
- 「日程変更の件、了解いたしました。予定しておきます。」
- 「了解いたしました。後ほど、資料をお送りいたします。」
- 「13時集合という事で、了解した旨をお伝えください。」
「了解いたしました」自体は正しい敬語でありますが、聞く相手によっては素っ気ない、失礼と思われてしまう可能性があります。例文のように一言添えておくとよいでしょう。
目上や上司に対する言い換えの例
「了解しました」は丁寧語であって謙譲語ではないので、取引先や目上の人に使うのは失礼にあたります。
では、取引先や目上の人に対しては、どのような言い方が正しいのでしょうか。
承知しました
まず、「承知しました」がふさわしい言葉とされています。これは、「承知する」という言葉が「わかる(了解する)」の謙譲語だからです。
ちなみに、「承知しました」よりも「承知いたしました」とした方がより丁寧に感じるかもしれませんが、「承知する」がすでに謙譲語であることから、「する」を「いたす」という謙譲語に変換しなくても、失礼にあたることはありません。
拝承しました
「拝承しました」という言葉もあります。
「拝承(はいしょう)」とは、「謹んで承ること」で、承知することをへりくだって表現した言葉です。通常よりかしこまった場面で使われます。
堅苦しい言葉であるため、特に気を使いたい場面で使うのがいいでしょう。
かしこまりました
「かしこまりました」は、つつしんで承諾する気持ちを表します。漢字で表現すると、「畏まりました」です。
相手を高めて、「承知した」という意を、ていねいに表す挨拶言葉です。
ビジネスシーンでの使い分け
上司・同僚・部下でどのように使い分ければいいのでしょうか。いくつか例文を挙げておきます。
上司や目上の人に対して
- 「承知しました。飛行機手配の件、対応させて頂きます。」
- 「明日2名様とのこと、承知いたしました。」
- 「承知しました。在庫を確認してまいります。」
同僚や部下、目下の人に対して
- 「3時までですね。了解しました。」
- 「了解しました。先方にその旨を連絡しておきます。」
「分かりました」という気持ちを表す言葉はほかにもありますが、相手やシチュエーションによって、その形は変化します。
まずは、「了解しました」は同僚や部下・目下の人に、上司や目上の人には「承知しました」を使うということを覚えておいてください。
「了解しました」は同僚や部下・目下の人に使うべき言葉だと説明しましたが、「する」の謙譲語が「いたす」であることから、「了解いたしました」であれば、上司や目上の人に対して使っても、本来問題ないのだそうです。
しかしながら、一方で「了解いたしました」は使うべきではない、とされており、多くの企業が「了解いたしました」よりも「承知しました」の方をするよう、指導しています。
実際、ビジネスシーンで「了解いたしました」を使っている人が少ないのも事実です。
上司や目上の人に対しての「了解しました」がNGとされていることで、いつの間にか「了解」という言葉自体が失礼にあたる、という風潮が出来上がってしまったのかもしれません。また、そもそも受け取る側が誰であれ、「了解」よりも「承知」の方が良い印象を与えることができるように感じます。
例えば、部下に「3時までにコピーしておいて」と指示した場合に、「了解いたしました」と返されて怒る人はいないと思いますが、自分が一般客という想定で、「金曜日の夜から2泊でお願いしたいのですが」とホテルに予約の電話を入れた時に、「了解いたしました」と言われたらどうでしょうか。
「了解いたしました」は間違いではないかもしれませんが、相手やシチュエーションによっては失礼な言葉と受け取られてしまう可能性がある以上、ビジネスの世界では使うべきではないとされ、「承知しました」の方を推奨しているのです。
端的に言えば、「承知しました」の方が無難だということです。
「了解」「了承」「承知」「承諾」「分かりました」「かしこまりました」の違い
分かったことを相手に伝える場合、いくつかの言葉があります。それらの違いをみていきましょう。
了解
相手の言っているいることや提案した内容を理解したことを示す言葉です。これは、情報や意図を明確に理解し、それを認識していることを表します。
了解は、職場などで「内容を把握しました」と伝える際に用いられます。
了承
了解に似ていますが、これは相手の要求や提案を受け入れるという意味合いが強いです。「承る」という言葉が含まれるように、了承には相手の意向を受け入れる、あるいは許可するニュアンスが含まれます。
例えば、上司の指示に対して「了承しました」と返答する場合、その指示を理解し、それに従う意志があることを示しています。
承知
主に相手の情報や要求を知っている、あるいはそれを認識している状態を指します。しかし、「承知」は「了解」や「了承」よりも、より受動的な意味合いを持ちます。
例えば、「承知しています」は「その事実を知っています」や「その状況は理解しています」という意味になります。
承諾
相手の要求や提案を明確に受け入れ、同意することを示します。承諾は、了承よりもさらに積極的な受け入れや同意の意志を表す言葉です。
例えば、「提案を承諾します」と述べる場合、その提案に同意し、それに基づいて行動する意志があることを明確に示しています。
分かりました
「分かる」という動詞に、丁寧語の「ます」という助動詞を過去形にして「ました」とあわせた丁寧語です。
しかし、相手を立てて敬う気持ちを表す尊敬語や、自分がへりくだることで相手を敬う謙譲語と違い、言葉を丁寧にしただけの表現が丁寧語のため、尊敬語や謙譲語と比較して、相手への尊敬の念が大きく表せられない表現でしょう。
かしこまりました
「わかる」の謙譲語であり、言葉の内容や意味を理解した、ということを伝えることができます。
自分自身を下げて、相手を高めることができる表現のため、ビジネスシーンでは、目上の人や取引先など、敬意をもって表現したい相手に適用されます。
よく使われがちな間違った敬語
ここまで、相手が言ったことが分かった、受け入れたことを伝える敬語について学びましたが、他にもよく使われているが、目上の方やお客様に対して使うのは失礼にあたる言葉がいくつかあります。
すいません
「すみません」の口語表現ですが、「すみません」も敬語ではないので、目上の方やお客様に謝罪する際には「申し訳ございません」「申し訳ありません」を使いましょう。
相手に依頼する際には「恐れ入りますが」と切り出すと敬意が伝わります。
ご苦労様です
「ご苦労」は目上から目下に対して用いられる傾向が強く、特にビジネス上では目上の人に対して用いないことがマナーとして確立しています。「お疲れ様です」を使いましょう。
お座りください
「お~ください」は尊敬表現ではありますが、中には犬のお座りを連想する方もいますので、ビジネスシーンでは「お掛けください」の方が適切です。
どうしますか
「どうする」には敬意が含まれていないため、これも目上の人に対しては「いかがいたしますか」「いかがいたしましょうか」を使いましょう。
ご一緒します
「一緒に行く」ことを丁寧に表現した言葉です。謙譲語ではありませんので、上司から「一緒に行くか?」と誘われた際には「ご一緒させていただきます」「お供させていただきます」が適切な敬語です。
拝見されましたでしょうか
相手の行動には謙譲語は使いませんので、正しくは「目を通していただけたでしょうか」となります。
注意したい言い回し
敬語につもりでも間違った言い回しを使っていることがあります。注意したい言い回しをいくつかあげますので、仕事上で使っていないか、思い返してみてください。
(社外の人に)〇〇社長が
社外の人に対しては、自社の社長や役員であっても、社内の人間の名前を呼び捨てにするのが一般的で、敬称をつける必要はありません。社内の人間は身内のため、敬称や役職名は不明です。
わが社
社内の会議などでは使っても問題ありませんが、外部に対して使う場合は「弊社」「当社」「小社」「私ども」といった言い方を使いましょう。
先方に対しては、「御社」「貴社」を使ってください。なお口語は「御社」、文語が「貴社」です。
今、お暇ですか
上司や取引先に対しては失礼な言い方で、絶対にNGです。自分のために、相手に時間を取ってもらいたいわけですから、「今、お時間よろしいでしょうか」と言うべきです。
より丁寧に「お忙しいところ恐縮ですが、今、お時間よろしいでしょうか」と、相手への気遣いを見せるのも大切です。
つまらないものですが
昔から手土産を渡す時に使われてきた表現で、「いつもお世話になっているあなたに、これくらいの品物では感謝の気持ちは伝えきれませんが」というへりくだった気持ちを込めて使われます。
しかし近年は、「つまらないものを渡すなよ」ということから失礼な印象を与えかねない言い方と捉えられる傾向があります。
「いつもお世話になっております。ほんの気持ち程度ですが」や「おいしいと評判のお菓子ですので皆様で召し上がっていただきたいと思いお持ちしました」などの言い換えをする方が好印象でしょう。
させていただいております
「させていただく」は、相手の要望があってそれに応えるという意味を持ちます。「~いただく」も同様に、相手が頼んだわけでもないのに使用すると失礼な印象を与えることがあります。
例えば社外の人に「販売主任をさせていただいております〇〇です」といった場合、敬意が自分を販売主任に任命した「自社」に向かっている印象になります。「販売主任の〇〇です」で十分です。
なるほど/なるほどですね
相手の発言に納得した気持ちを表すため、つい使ってしまいがちですが、「なるほど」自体に尊敬の意味はありません。むしろ目上の人に使うと、少し見下したようなニュアンスが含まれる場合があります。後ろに「ですね」をつけて丁寧語にしても、敬意がプラスされるわけではありません。
目上の人やお客様に対しては「おっしゃる通りだと思います」などを使いましょう。
お世話様です
お世話になった相手への敬意を表す言葉ですが敬意は軽く、目上の人に対して使うのは失礼に当たります。「お世話になっております」を使いましょう。
どうしましょうか
丁寧語ではありますが、尊敬の意味合いが含まれない言い方です。目上の人やお客様に対しては「いかが致しましょう」と言うようにしましょう。
まとめ
日頃、自分では合っている表現だと思って使っている言葉の中に、相手や状況によって正しい表現ではない言葉があることがお分かりいただけたと思います。
日頃から使いがちな間違った表現をいくつか直すだけでも相手の受け取る印象が違ってきます。敬語は相手に対して自分の敬意を示す方法の1つです。
注意されないから直さなくても大丈夫、ではなく、自分が相手の立場であれば、どちらの言葉を使ってもらうと良い印象を受けるか、意識してみましょう。
細かいことかもしれませんが、敬語の使い方からもビジネスマナーができているか、信用できる相手かどうか判断されることがあります。
細かな敬語でもきちんと使いこなせれば、自分の印象を良くするだけではなく、社員教育をしっかり行っている会社だという印象を与えることにもつながります。
ビジネスシーンにあった敬語は言葉遣いで、一段上の社会人を目指しましょう!