「痛む・痛める」「傷む・傷める」意味の違いと使い分け方

「痛む・痛める」と「傷む・傷める」。ともに「いたむ・いためる」と読む、よく似た言葉の意味の違いは次の通りです。

  • 【痛む】人が肉体や心に苦痛を感じる
  • 【痛める】人の肉体や心に苦痛を感じさせる
  • 【傷む】物に傷がつく・壊れる・腐る
  • 【傷める】物を傷つける・壊す・腐らせる

このページでは、「痛む・痛める」と「傷む・傷める」の意味の違いと使い分け方について、さらに詳しく解説しています。

【痛む・痛める】【傷む・傷める】意味の違い

「痛む・痛める」と「傷む・傷める」。それぞれの言葉の意味は、『広辞苑』では次のように解説されています。以下、引用です。

【痛む】肉体に苦痛を感じる。悩みに思う。苦痛に感じる。
【痛める】痛い思いをさせる。いじめる。
【傷む】破損する。腐る。
【傷める】傷つける。こわす。腐らせる。
出典:岩波書店『広辞苑』

上記の意味からわかること。それは同じ「いたむ・いためる」でも、「痛む・痛める」の対象となるのは人の肉体や心。一方の「傷む・傷める」は物です。

これらのことから次のように区別・使い分けすることができます。

【痛む・痛める】人の肉体や心が対象。人が対象なので苦痛が生じる

「痛む・痛める」は、対象が人です。人の肉体、人の心です。この点が物が対象となっている「傷む・傷める」と大きく異なる点です。

また、人が対象なのでそこに苦痛が生じます

苦しいと感じる感情。痛いと感じる感情。これらの感情もまた、「痛む・痛める」の特徴を際立たせている大きな特徴の一つと言えます。

  • 【痛む・痛める】人の肉体や心が対象。人が対象なので苦痛が生じる。
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【傷む・傷める】物が対象。物が対象なので苦痛は生じない

「傷む・傷める」は、感情・感覚がない物が対象です。人は対象外です。

人が対象外であるため、人に特有の苦しいと感じる感情や痛いと感じる感情はそこにはありません

  • 【傷む・傷める】物が対象。物が対象なので苦痛は生じない。

なお、人の「髪」は人の肉体の一部ですが、「髪をいためる」と書く場合は物が対象となる「傷む・傷める」を用い「髪を傷める」と表記します。

肉体の一部はあっても、髪が傷んでも物理的な苦痛は生じないからです。髪が傷んで精神的な苦痛を感じる場合もありますが、そのような時は次のように表現しましょう。

「髪が傷んで心が痛む」
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【痛む・痛める】【傷む・傷める】意味の違い、まとめ

「痛む・痛める」「傷む・傷める」。これらの言葉の意味の違いと使い分け方、このページの解説でおわかり頂けましたでしょうか。

最後に、「痛む・痛める」「傷む・傷める」の意味の違いを区別するポイントを以下にまとめますので、頭の中の整理にお役立てください。

  • 【痛む・痛める】人の肉体や心が対象。人が対象なので苦痛が生じる。
  • 【傷む・傷める】物が対象。物が対象なので苦痛は生じない。