「思う」と「想う」の違いと使い分けは2つのポイントで区別できる

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「思う」と「想う」の似て非なる2つの言葉の違いと使い分けには様々な説が唱えられています。実はこの2つの言葉の違いと使い分け、「想う」を起点にするといとも簡単に区別がついてしまうのです。このページでは簡単な区別のつけ方を解説しています。

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「思う」と「想う」の違いと使い分けをわずか2つのポイントで区別!

結論から申し上げます。

「想う」を使うときは次の2つのケースです。

  1. 英語で言うイメージするとき。対象となるものやことの姿を頭の中に描くとき。
  2. おもっている相手を慕い求めるとき。

そして、これら2つ以外のケースはすべて「思う」です。

あまりにもざっくりとした分け方で唖然とされたかも知れません。しかし、こんなざっくりとした分け方になるには理由があります。以下にその理由をご説明します。

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漢字の由来からひも解く「想う」の意味

「想」という漢字は「冀」という異体字を持っています。

ちなみに異体字というのは例を挙げるなら「高」と「髙」、「斉」と「齊」、「浜」と「濱」のような、意味が同じで表記が異なる漢字のことです。

そして「想」の異体字「冀」は「こいねがう」すなわち「慕う」「求める」という意味を持ち、人は慕い求める時にその姿を頭の中に描く(イメージする)という考え方が、上に述べた「想う」を使うケースの由来となっています。

「慕う」「求める」を表す言葉を「理想」と言い、頭の中に描く(イメージする)ことを「想像」と言うように、それぞれ「想」が使われていることを考えれば「想」の字を使うケースはおのずとわかるのではないでしょうか。

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「思う」の意味を知る前に知っておきたい「おもう」の多様性

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6種類もあった「おもう」に用いられる漢字

では「想う」に対して「思う」はどのような由来を持っているのでしょうか。実は【おもう】という言葉に当てられた漢字は「思」と「想」の二つだけではありません

もともと【おもう】という言葉には「思」と「想」の他に、以下のような漢字が当てられていました。

【おもう】思、想、惟、憶、慮、念

そもそも【おもう】という行為は、わずか2パターンにざっくりと分けてしまえるような単純な行為ではありません。

【おもう】という行為はその深さや広さ、対象との関係によって様々なパターンが存在するとても複雑な行為なのです。

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英語で理解する「おもう」の多様性

「おもう」という行為の多様性については英語で考えてみるとよく理解できます。

英語で【おもう】に近い単語は、ざっと挙げただけでもthink、consider、suppose、feel、guess、assume、等々、これだけたくさんあります。

また “think” ひとつとっても、“think of” と “think about” とでは意味がまったく異なります。この意味の違いを理解せず安易に使い分けると大変なことになります。

外国人の多い職場などで【おもう】という行為への理解が不足している日本人上司が、女性の部下に対して “think of” という言葉を使いセクハラ騒ぎになることがあります。

“think about” が単に相手のことを思う状態なのに対して、“think of” は相手の心の内面や体のことまで思っている、という意味を持っているからです。

【おもう】という行為はこれほど複雑なものであり、その言葉の選び方には慎重であるべき行為なのです。

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「思う」と「想う」の違いと使い分けに混乱が生じた理由

深さと広がりを持ち、とても複雑な意味を持っているはずの【おもう】という行為ですが、日本語で表す言葉は【おもう】ひとつしかありません。

そこでかつては「思、想、惟、憶、慮、念」という6種類の漢字を当てて、それらの違いを表現していました。ところがある時期から「思」以外が廃止されてしまい、すべての【おもう】が「思う」ひとつになってしまいました。

そのため【おもう】の多様性を理解する文化が失われてしまう中、その後に「想」だけが復活したため混乱を招いているのが昨今の現状のようです。

時折、「思う」と「想う」を対立した言葉と位置づけ、中にはこれら二つの言葉を善悪に分ける説を聞くこともありますが、これらは誤解に基づいた考え方です。

「思う」という漢字の由来と「思、想、惟、憶、慮、念」

最後に「思う」という漢字の由来と、かつて【おもう】という言葉に当てられていた「思、想、惟、憶、慮、念」それぞれの使い分けについてまとめてみます。

参考までに英語の代表的な3つの【おもう】も加えました。【おもう】の多様性を深く理解し、大切な人たちと円滑なコミュニケーションをとっていただければ幸いです。

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「思う」という漢字の由来

「思う」という漢字の「田」は、本来は「囟」と書き、「囟」という字は脳を意味します。そして「心」という字は心臓を意味します。

これらの成り立ちから「思う」と表記した場合、人類だけが持つ「おもう」という生物的機能を表しています。また人類だけが持つ特別な機能であることから「深くおもう」ことを「思う」と表していました。

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「思、想、惟、憶、慮、念、think、consider、suppose」の意味

思う深くおもう
想うこいねがう、姿を頭に描く、慕う、求める
惟うひろくおもう(「思う」と対をなすのは「想う」よりもむしろ「惟う」)
憶う神意を推測する
慮うある問題への対処を神に問いかけて解決策を探る
念う自らの心の中を深く探求する、高める
think主観的に思う(確信度が低い)
consider熟考した上で思う(確信度が高い)
suppose半信半疑に思う、根拠なく思う(確信度が “think” よりも低い)
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