「要因」と「原因」の違いと使い分け方を法律の条文から推測する

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「要因」と「原因」の違いと使い分け方については国語辞典でも諸説あり、インターネット上でも様々な議論を目にします。「要因」と「原因」の違いという悩ましい問題について、このページでは言葉の選定と定義に厳格な法律の条文を参考にしてまとめています。

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結論:法律の条文から推測する「要因」と「原因」の違い3つのポイント

  1. 「原因」は、結果との因果関係が明らかになっている。
  2. 「要因」は、結果との因果関係が特定されていない。
  3. 「原因」は、たった一つとは限らない。
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「要因」と「原因」の違いを法律の条文から推測する

「要因」と「原因」の違いをインターネットで検索して調べている方の多くは、言語学を極めるためというよりも、日常生活の中で「要因」と「原因」を適切に使い分けたい。その目的で調べているものと思います。

そこで、解釈がいくつもあるため調べれば調べるほど混乱を招きかねない学問の分野での議論は、このページを読んでいる間だけは一旦忘れてください。

そして、厳格に統一された言葉の用い方をしている点で日本一と言っても過言ではない法律の条文を参考にして、法律の条文の中での「要因」と「原因」の二つの言葉の使用例から、違いと使い分け方を見極めてまいりましょう。

「原因」は結果との因果関係が明らかになっている

法律の条文の中で「原因」という言葉と一緒に使われている言葉の中に「究明」「特定」「明確」があります。「原因を究明する」「原因を特定する」「原因を明確化する」などという使われ方をしています。

ちなみに「究明」「特定」「明確化」の言葉の意味は次の通りです。

【究明】真理・真相などを徹底的に追究し、明らかにすること。
【特定】特に、それと断定すること。
【明確】はっきりしていて疑う点もなく確かな・こと(さま)。

出典:コトバンク

法律の条文の中で「原因」とは「究明」「特定」「明確」にすべきもの。または「究明」「特定」「明確」にされたもの。

一言で言うと「原因」は結果との因果関係が明らかになっているものと定義づけられていることが、上に挙げた使用例から見て取れると思います。

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「要因」は、結果との因果関係が特定されていない

法律条文の中に登場する「要因」は、ある結果に対して影響を及ぼしている複数のことがらをひとまとめにしているところに特徴があります。

心理的、情緒的、身体的若しくは社会的要因又は背景
地理的な制約、年齢、身体的な条件その他の要因
年齢、身体的な条件その他の情報提供等記録開示システムの利用を制約する要因
多様かつ複合的な要因

法律条文の中「要因」とは、ある結果に対して影響を及ぼしていることがらではあるものの、「原因」とは異なり「究明」「特定」「明確」などという言葉と一緒に使われてはいません。結果との間の因果関係が明らかになった言葉としては使われてはいません。

ちなみに、因果関係が明らかにされている「原因」を含む法律条文が数千件にも及んでいるのに対して「要因」を含む法律はわずか140件しかありません。

曖昧さを可能な限り排除している法律条文でこれだけの数の差が生じていることからも、「要因」という言葉が、結果との因果関係が明らかになっていない曖昧な言葉として認識されていることが読み取れるかと思います。

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「原因」はたった一つとは限らない

インターネット上の情報では「要因」が複数あるのに対して「原因」は一つしか存在しないとする説もありますが、法律の条文の中では「原因」はたった一つではなく複数存在することが示唆されています。

法律条文中でも「要因」としていくつもの事例が取り上げられているのに対して、「原因」はそのような記述の仕方がされていないため、ともすれば「要因」は複数あり「原因」は一つしかないと思いがちです。

しかしそれは誤解です。

「原因」はたった一つではなく複数存在することが示唆されていることが、法律条文中で実際に使われている以下の記述から読み取ることが可能です。( )の数字はそれぞれの記述の出現回数です。

単一の原因(8)
主な原因(18)
直接の原因(20)
直接又は間接の原因(12)
以外の原因(15)

仮に原因とはたった一つしかないものであれば「単一の原因」という言葉は重複表現となってしまいます。「頭痛が痛い」や「馬から落馬する」と同レベルということです。

「主な原因」という言い回しをしているのは「主でない原因」があるということ。つまり、「主な原因」以外にも「原因」が複数存在することが示唆されています。

「直接の原因」も同様です。「直接の原因」という表記は「直接」でない「原因」の存在を示唆しています。実際に「直接又は間接の原因」という表記によって「原因」が複数存在しうることが示唆されています。

また「以外の原因」という表記があるのは「主な原因」の裏返しの表現、すなわち「主でない原因」の数々を指しているものと思われます。

以上のことから「原因」はたった一つとは限らないことが読み取れます。「原因」は一つしか存在しないと決めつけてしまうと、「原因」であるはずのことを「原因」ではないと誤認しかねません。注意が必要です。

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結論:法律の条文から推測する「要因」と「原因」の違い、まとめ

法律の条文から「要因」と「原因」の違いは次のように推測できるかと思います。

  1. 「原因」は、結果との因果関係が明らかになっている。
  2. 「要因」は、結果との因果関係が特定されていない。
  3. 「原因」は、たった一つとは限らない。

法律の条文の例を参考に、普段の言葉の選び方においても、結果との因果関係の有無で「要因」と「原因」を使い分けてみてはいかがでしょうか。

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