「弊社」「当社」の使い分けは要注意!意味の違いと例文で確認

「弊社」「当社」は、どちらもビジネス場面等で自分の会社のことを呼ぶ時に使う言葉ですが、意味が違うので相手や場面によって使い分ける必要があります。その違いをまとめると以下のようになります。

 意味相手と場面言い換え
弊社自分の所属する会社を低めたもの取引先や顧客など社外の人への挨拶・謝罪など小社
当社自分の所属するこの会社

・取引先や顧客など社外の人へ説明、プレゼンなど
・社内の人への報告など

わが社
自社

このページでは「弊社」「当社」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

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「弊社」「当社」の意味

まず、「弊社」「当社」の辞書での意味を確認しておきましょう。

【弊社】
自分の会社をへりくだっていう語。

【当社】
1.この会社。我が社。
2.この神社。

出典:『大辞林』

「弊社」「当社」では、自分の会社をどのように扱うかという点で違いがあることがわかります。「弊社」「当社」は使い方を誤ると間違った印象を与える場合があるので、より詳しい意味と使い方を確認しておきましょう。

「弊」の漢字の意味

言葉の意味を知るときには、漢字の意味を知るとよりわかりやすくなりますので一つ一つ見ていきたいと思います。

まず「弊」からです。上にある「敝(ヘイ)」の左側の部分は「巾(ぬの)+八印(二つに裂く)」で、布を左右に引き裂く様子から作られています。それに動詞であることを示す記号「攴」が付いて「破ってだめにする」という意味を持っています。

「弊」は更に下に「廾」が付いていますが、これは両手を描いたものです。「弊」は「両手で破ってだめにする」様子で、ずたずたに引き裂かれてだめになったという意味がより強調されています。

布が破れる様子から作られた「弊」の漢字ですが、布だけではなく物や人がぐったりとしてだめになる、たるんで崩れるという意味も持つようになりました。そして、更には弱っていることや力がないことを表すようにもなりました。

また、自分のことに関する言葉に「弊」を付けることで、だめな自分、弱い自分のように謙遜する機能も持つようになり、「弊社」「弊宅」のような使われ方をするようになりました。

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「当」の漢字の意味

では、次に「当」の漢字の成り立ちを見てみましょう。

「当」はもともと「當」と書かれていて、これは「田+尚」からできています。「尚」の上にある「ツ」のような字は神様の気配を、その下にある口とそれを覆う屋根のようなものは、人が屋内にいる様子を表しています。つまり、「尚」は人が屋内で神様に祈りを捧げている様子なのです。

「田」は区画された耕地、つまり田畑を表しています。「尚+田」で作られている「當」は、田畑の実りを願って神様を祭る儀式のことです。このような儀式は、田植えや稲刈りに丁度良い時に行うことから「あたる」や「あてる」という意味を持つようになりました。

そして、この「あたる」という意味が、ぴったり該当すると意味も持つようになり、価値や力が釣り合っている場合を「相当」、条件や資格にあてはまっている場合には「該当」というように「当」の漢字を使うようになりました。

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「弊社」「当社」の意味

このような漢字の意味から、「弊社」は、自分の会社をだめな会社、弱い会社だとすることで、控えめな姿勢を表す言葉です。似た意味の言葉としては、小さな会社であるという謙遜した意味を持つ「小社」があります。

一方で、「当社」は、価値は相手の会社と相当であり、条件も求められているものに該当している会社であることを示す言葉で、謙遜や控えめさはありません。言い換えるとすれば「わが社」や「自社」です。

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「弊社」「当社」の使い方

それでは、「弊社」「当社」の例文を見ながら使い方の違いを確認していきましょう。

「弊社」の例文

「弊社」は自分の会社を控えめに呼ぶ時に使う言葉ですから、以下のような場面で使います。

・平素より弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
・「弊社の田中からもよろしくお伝えくださいとのことでした。」
・弊社の不手際により多大なるご迷惑をお掛けしてしまい誠に申し訳ございませんでした。

一つ目の例文のように取引先や顧客に対して挨拶やお礼を伝える時には「弊社」を用いて、控えめな姿勢を示します。メールでも使えますし、二つ目の例文のように会話で用いることもできます。

また、三つ目の例文のようなお詫びの気持ちを伝える時には「弊社」を使う必要があります。このような場面で「当社」を使うと謝罪の気持ちが伝わりにくく、場合によっては相手の気持ちを害してしまうので注意が必要です。

「弊社」の注意点

「弊社」の使い方で時々耳にする間違いに、相手の会社のことを「弊社」と呼ぶというものがあります。「弊社にはいつもお世話になっております。」などと言う人がいますが、これは間違いです。「弊社」は敬語の一つですが、自分をへりくだる謙譲語です。相手の会社を敬語を使って呼ぶ時には、「貴社」「御社」のような言葉を使う必要があります。

また、「弊社」は社内では使いません。例えば、社内での会議で「弊社の今期の売り上げを報告します。」のような言い方をすると、上司にあきれられてしまうので、これも注意してください。

「当社」の例文

「当社」には控えめな意味はなく、以下のような場面で使います。

・当社は会社設立百年を迎えました。
・「当社の志望理由を教えてください。」
・当社の今期の目標達成には、社員全員の協力が不可欠です。

一つ目の例文のように、例えばホームページなどで自分の会社の情報をただ伝えるような場合には「当社」を使います。また、二つ目の例文は、就職時の面接などで使われる表現です。就職を希望している相手に対して、面接する側が自分の会社を控えめに言う必要はないので「当社」を使います。

三つ目の例文のように、社内での会議やメールで自分の会社に言及する場合には「当社」を使うのが適切です。

「当社」の注意点

まず、以下の例文を見てください。

・当社の最大の誠意は、心から謝罪することと考えております。
・当社には他社には負けない経験と実績があります。

一つ目の例文は、謝罪です。謝罪なら「弊社」を使うべきではないかと思うかもしれませんが、なぜこの場合は「当社」を使っていると思いますか。

この例文は、クレーマーからのメールに対する返信の一部です。言いがかりのような文句をつけられた場合には、いくら相手が顧客といえども、毅然とした対応をする必要があります。「弊社」を使うと相手に弱い印象を与えてしまい、相手の反応がエスカレートする場合があるので、「当社」のほうがよいこともあるのです。

また、二つ目の例文のように、社外でのプレゼンで「当社」を使ったほうが良い場合もあります。他社と競うようなプレゼンの場合には、自分の会社の商品やサービスを控えめに言うのではなく、自信を持ってアピールする必要があります。そのため、「弊社」ではなくあえて「当社」を選ぶのです。

このように「弊社」「当社」は自分の会社の姿勢を伝える言葉でもあるので、状況や場面に合わせて使い分けることが大切です。

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「弊社」「当社」の違い、まとめ

「弊社」「当社」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

 意味相手と場面言い換え
弊社自分の所属する会社を低めたもの取引先や顧客など社外の人への挨拶・謝罪など小社
当社自分の所属するこの会社

・取引先や顧客など社外の人へ説明、プレゼンなど
・社内の人への報告など

わが社
自社