「臭い」「匂い」「香り」の違いと使い分けの例文

「臭い」「匂い」「香り」は、どれも物から発散されて鼻で感じる刺激や、漂っている雰囲気を表現するときに使う言葉ですが、その刺激や雰囲気が好ましいものかどうかによって使い分けがあります。その違いをまとめると以下のようになります。

鼻で感じる刺激や漂う雰囲気が
好ましくない臭い
好ましい匂い
とても好ましい香り

このページでは「臭い」「匂い」「香り」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

「臭い」「匂い」「香り」の意味と例文

まず、「臭い」「匂い」「香り」の辞書での意味を確認しておきましょう。

におい【匂い・臭い】
1.〖匂・臭〗そのものから発散されて嗅覚を刺激するもの。よい香りには「匂」を使う。不快なくさみには「臭」を使うが、慣用的には「匂」も使う。
2.〖匂・臭〗そのものがかもし出す雰囲気。いかにもそれらしい気配や趣。
3.〖臭・匂〗うさんくさい感じ。疑わしい気配。
4.〖匂〗日本刀の地肌と刃の境に現れた、霧のようにかすかな模様。

かおり【香り】
1.よいにおい。
2.(すぐれた)特性の示す雰囲気。

出典:『明鏡国語辞典』

辞書では「臭い」と「匂い」は同じ項目で説明されています。そのため、辞書だけでは意味の違いや使い分け方はわかりません。また「香り」と「臭い/匂い」の違いも辞書の説明からだけではよくわかりません。より詳しい意味や例文を見ながらそれぞれの違いを確認していきましょう。

「臭」「匂」「香」の漢字の意味

言葉の意味を知るときには、漢字の意味を知るとよりわかりやすくなりますので一つ一つ見ていきたいと思います。

まず「臭」からです。上にある「自」は鼻を表したもので、下の「大」はもともとは「犬」でした。「臭」は鼻の効く犬がくんくんとにおいを嗅ぐことで、のちに嗅いだときの様々なにおいに対して使われるようになりました。

「匂」は国字と言われるもので、日本で作られた漢字です。漢字と言えば中国から伝わってきたものだと思いますが、日本で作られたものもあるのです。

「匂」は、「韵」という中国の漢字をもとに作られました。よく見ると右側に「匂」に似た字がありますよね。「韵」は響きや調子がまろやかに調和していることを表す字で、聴覚にとって心地よい刺激を指します。「韵」の一部を使った「匂」は、嗅覚に対する良い刺激を表すときに使う漢字として、平安時代に作られたと考えられています。

中国では「臭」の漢字が、良い悪いに関わらず鼻で感じる刺激のすべてに対して使われていました。しかし、「臭」という一つの漢字だけでは表すことのできない日本独特のにおいの感覚を表現するために「匂」という漢字が生まれたようです。

では、最後に「香」を見てみましょう。「香」の上にある「禾」は、穂先が茎へ向かって垂れ下がる穀物の様子で、ここではイネ科の黍(きび)を表しています。黍(きび)を煮ると甘いお酒ができ、それを神様に捧げていました。その甘い酒はとても良いにおいがすることから、「香」は芳しくて素晴らしいにおいを表すようになりました。

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「臭い」「匂い」「香り」の意味

このような漢字の成り立ちから、「臭い」は様々なにおいを、「匂い」は好ましいにおいを、そして「香り」は素晴らしいにおいを表すことがわかります。

でも、「臭い」は良いにおいというよりも悪いにおいを言う時に使うイメージがありませんか。それには、ある経緯があります。

「匂」という漢字は古くからあったものの、常用漢字(文化庁によって定められた、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合に使われる漢字)には登録されていませんでした。そのため「臭」が良いにおい、悪いにおいのどちらにも使われてました。

しかし、2010年に「匂」が常用漢字表に追加されたことで、「臭い=好ましくないにおい」「匂い=好ましいにおい」に役割を分担するようになったのです。「臭い」と「匂い」を明確に使い分けるようになったのは、意外と最近のことなのです。

それでは、「臭い」「匂い」「香り」の例文を見ながら使い方の違いを確認していきましょう。

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「臭い」の例文

「臭い」の例文を見てみましょう。

・何かが腐ったような臭いがしている。
・少しカビくさい臭いのする部屋に通された。
・この辺りは犯罪の臭いがする。

「腐った」「カビ」のような好ましくないにおいの場合には「臭い」を使います。「酒臭い」「汗臭い」なども同様です。また、「犯罪の臭い」のように、悪い雰囲気や気配がする場合にも「臭い」を使うことができます。

「匂い」の例文

次に、「匂い」の例文を見てみましょう。

・少女は嬉しそうに花の匂いを嗅いだ。
・蓋を開けると甘い匂いがしてきた。
・古き良き昭和の匂いが漂う街。

「花」「甘い」のような好ましいにおいの場合には「匂い」を使います。「匂い」も雰囲気に対して用いることができ、好ましい雰囲気や気配がする時に「匂い」を使います。

「香り」の例文

「香り」の例文を見てみましょう。

・松茸の香りは人を惹きつけてやまない。
・今まで一度も味わったことのない芳醇な香りがした。
・文学の香り漂う素敵な喫茶店を見つけた。

「松茸」「芳醇」のようなとても良いにおいの場合には「香り」を使います。「香り」も「臭い」「匂い」と同様に雰囲気に対して用いることができ、高級感や上品さが感じられる場合に「香り」を使います。

「匂い」と「香り」はどちらも良いにおいを表すので、使い分けに迷うかもしれません。例えば「松茸」などは「香り/匂い」のどちらを使っても間違いではありません。「香り>匂い」で好ましいと思う気持ちが強いと考えて使い分けてください。

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「臭い」「匂い」「香り」の違い、まとめ

「臭い」「匂い」「香り」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

鼻で感じる刺激や漂う雰囲気が
好ましくない臭い
好ましい匂い
とても好ましい香り