「絞る」「搾る」の違いと使い分けの例文

Advertisement(広告)

「絞る」「搾る」は、どちらも「しぼる」と読み「締め付けたり押し付けたりする」ことですが、以下のような違いがあります。

  • 絞る:ねじって締めてしぼる。無理に出す。範囲を狭める。
  • 搾る:押して潰してしぼる。圧力をかけて追及する、鍛える。

このページでは「「絞る」「搾る」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

Advertisement(広告)
Advertisement(広告)

「絞る」「搾る」の意味と例文

まず、「絞る」「搾る」の辞書での意味を確認しておきましょう。

しぼ・る【絞る・搾る】

1.強くねじったり押しつけたりして含まれた水分などを取り去る。また、そのようにしてそのものに含まれる液体を取り出す。
2.頭脳やのどなどを精一杯使って、その能力を最大限に発揮させようとする。また、そのようにして内在する能力を取り出す。
3.きつく責めたり鍛えたりする。
4.張り広がった状態のものを小さくする。特に、押し縮めて一方に寄せる。
5.問題点を整理して範囲を限定する。
6.カメラで、レンズの絞りを小さくする。
7.ラジオなどで、音量を小さくする。
8.弓を力いっぱい張る。引きしぼる
9.相撲で、自分のわきに相手の手をはさみ、相手の重心を浮かせるようにして締めつける。
10.絞り染めにする。

出典:『明鏡国語辞典』

辞書では「絞る」「搾る」は、多くの辞書で同じ項目で説明されています。様々な意味で使われますが、どの意味にどの漢字なのかという使い分けは明確には示されていません。以下でより詳しい意味や例文を見ながらそれぞれの違いを確認していきましょう。

「絞」「搾」の漢字の意味

言葉の意味を知るときには、漢字の意味を知るとよりわかりやすくなりますので一つ一つ見ていきたいと思います。

まずは、「絞」からです。「絞」の右側にある「交」は、人が足を交差させた様子です。この交」に紐を示す「糸」という字がくっついて、紐を交差させて両方から引っ張る様子を表しています。交差した紐をぎゅっと引っ張って締め付けること、それが「絞」です。

では、次に「搾」を見てみましょう。「搾」の右側の「窄」には「穴」という字があります。これは、ほら穴式の家の様子から作られたものですが、後に窪んでいる場所や部分を表すようになりました。「穴」の下にある「乍」という字は、刃物で∠形に切る様子を表していて、刃物で切れ目を入れるという意味を持っています。「穴+乍」からなる「窄」は、刃物で穴を作ることや、それによってできた狭い穴のことです。

「搾」は、それに更に「手」の意味を持つ手偏がついて、手を使って狭い穴に無理矢理何かを詰め込む様子を表しています。狭い穴にぐいぐい何かを押し込むと潰されるようにしぼれますよね。それが「搾」です。

このような漢字の違いから、「絞る」は「ねじってしぼる」、「搾る」は「押してしぼる」という意味を持っています。

では、例文を見ながらより具体的に「絞る」「搾る」の使い方を確認しましょう。

「絞る」の意味と例文

「絞る」は、ねじる動作がポイントになります。そのため、以下のような例文では「絞る」を使います。

・床を拭くときは雑巾を強く絞ってください。
・卒業式の日にはクラスの全員が涙で袖を絞った。

「雑巾を絞る」は、ねじるイメージを想像しやすいので「絞」を使うことはすぐわかるのではないでしょうか。「袖を絞る」はひどく悲しんで泣くという意味の慣用表現ですが、涙を拭くために濡れてしまった着物の袖をぎゅっとねじってしぼる様子からできた表現なので、この場合もやはり「絞る」を使います。

また、「絞る」は以下のような場合にも使います。

なんとか知恵を絞って難局を乗り越えた。
・決勝戦では声を絞って応援した。

どちらも頭や喉をぎゅっと締め付けているイメージがありませんか。このように、出せないものを無理に出すという意味の場合にも「絞る」を使います。

更に、以下の例文のように、広がっているものを縮めたり、範囲の広いものを限定したりする場合にも「絞る」を使います。

・そろそろ研究テーマを絞らないといけない。
・夜も遅いので少しステレオのボリュームを絞ろう。

ねじることで縮めたり小さくすることはできますが、押すと潰れて広がってしまいますよね。だから「絞る」のほうがいいわけです。ここでもやはり「絞る:ねじる」と「搾る:押す」の違いが反映されています。

「搾る」の意味と例文

「搾る」は、押す動作がポイントになります。例文を見てみましょう。

・オリーブの実を搾って油を採る。
・初めて乳牛の乳を搾る体験をした。

オリーブの実も牛の乳もねじるのではなく、押してしぼるので「搾る」です。その他にも「搾る」は以下のような場合に使われます。

・スピード違反で警察に捕まってひどく搾られた。
・大学時代の合宿で先輩に搾られた思い出がある。

「警察に搾られた」のように厳しく追及されたり、「先輩に搾られた」のように厳しく鍛え上げられた場合にも「搾る」を使います。「搾る」は「押す」イメージなのですが、手で押すだけではなく、権力や威厳などによる圧力で押される場合にも使われるのです。

Advertisement(広告)
Advertisement(広告)

「絞る」「搾る」の違い、まとめ

「絞る」「搾る」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

  • 絞る:ねじって締めてしぼる。無理に出す。範囲を狭める。
  • 搾る:押して潰してしぼる。圧力をかけて追及する、鍛える。
Advertisement(広告)