「花」「華」の意味の違いと使い分けの例文

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「花」と「華」はどちらも「はな」と読み、植物の「花」の意味以外にも「話に花が咲いた」「あの人には華がある」などのように賑やかさやきらびやかさを表す比喩や慣用句で使われることもあります。このような意味での「花」と「華」の使い方のポイントをまとめると、以下のようになります。

・植物の花を連想させる表現がある場合には「花」を使う。
・華やかさを表す場合には「華」が好まれる。
・「花」「華」のどちらを使っても間違いではない場合が多い。

このページでは「花」と「華」の具体的な例文を示しながら、「花」と「華」の使い分け方についてわかりやすく解説しています。

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「花」「華」の意味と例文

まず、「花」と「華」の辞書での意味を確認しておきましょう。多くの辞書で、「花」と「華」は「はな」の項目でまとめて説明されています。

はな【花(華)】

1.一定の期間、植物の茎や枝の先に形成され、つぼみの状態から開いて実を結ぶものの総称。よい香りと美しい色彩をもつものが多く、観賞・装飾用に栽培されるものもある。植物学的には種子植物の生殖器官で、雄しべ・雌しべ・花冠・萼がくからなる。
2.桜の花。
3.はなやかで美しいもの。また、きらびやかで人目を引くもの。
4.最もよい時期。もっとも盛んな時期。
5.芸人などに与える祝儀。また、芸者などの揚げ代。
6.《多く「お━」の形で》生け花。華道。
7.花札。

出典:『明鏡国語辞典』

一つ目や二つ目の意味のように、植物の花を表す場合には「花」の漢字を使えばいいのですが、使い分けで悩むのは三つ目や四つ目のような意味の場合です。辞書では使い分けについては説明されていないので、より詳しく見ていきましょう。

「花」「華」の漢字の意味

言葉の意味を知るときには、漢字の意味を知るとよりわかりやすくなりますので見ていきたいと思います。 

「花」は「艸+化」からできており、上にあるのは草冠ですね。これは草や植物を表しています。「化」は二人の人が倒れたり座ったりと姿を変える様子から作られた形で、変化するという意味を持っています。「花」は、植物の内のつぼみが開き、咲いて散るという変化をする部分を指しています。

「華」にも上に草冠がありますね。だから、これも草や植物を指す漢字です。草冠の下にある縦線や横線は茎や枝で、茎の上で草や花が茂っている様子を表しています。

もともと植物の花を指す場合には「華」という漢字が使われていましたが、五世紀ごろになり「花」という漢字ができました。そして、徐々に「花」と「華」が使い分けられるようになったと考えられています。「花」は主に植物を、「華」は華やかさや艶やかさのような「花」から受ける抽象的なイメージを表していました。

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「花」「華」の使い分けが明確な例文

このような「花」と「華」の役割分担を元に、実際の使い分け方を確認していきましょう。まず、使い分けが明確でわかりやすい例としては以下のようなものがあります。

<「花」を使う例文>

・あの人は高嶺の花だ。:遠くから見るだけで、手に入れることができない。
・友人との話に花が咲いた。:次から次へと興味ある話が出て会話が弾む。
・いつか一花咲かせたいものだ。:成功して一時華やかに栄える。

「高嶺の花」は高いところに咲いている花の比喩から作られているので「花」を使います。「話に花が咲く」「一花咲かせる」は、にぎやかさや華やかさを意味するので「華」でもいいように思いますが、「咲いた」とともに使われているので「花」が適切です。このように植物の花と直接関係のある表現とともに使われているなど、咲いている花を強く連想させる場合には「花」を使います。

<「華」を使う例文>

・あの役者には華がある:きらびやかで人目を引く魅力を備えている。
・独身時代が華だよ:最も良い時期。

華やかさや盛んな様子を表し、かつ「高嶺」という場所や「咲く」といった植物の花と関わりのある表現が使われていない場合には「華」を用います。

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「花」「華」の使い分けが曖昧な例文

ここまで使い分けが明確な例文を見てきましたが、実際には「花」「華」のどちらも使われている場合が数多くあります。

<「花/華」を使う例文>

・演奏で式典に花/華を添える:更に華やかさを増す。
・火事と喧嘩は江戸の花/華:大火事と派手な喧嘩は江戸の名物だった。

「花/華を添える」は、意味から考えると「華」が適切だと思いますが、実際には「花」「華」のどちらも使われています。試しにインターネットで検索してみると、「花を添える:47,500,000 件:華を添える:9,220,000 件」という結果でした。また、辞書でも「華を添える」の項目に「花を添える」と書いているものもあり、どちらの漢字も認められています。

「江戸の花/華」も「花」を採用している辞書と「華」を採用している辞書の両方がありますし、「花/華の都パリ」「両手に花/華」「(駅伝の)花/華の二区」などでも「花/華」のどちらの漢字も使われています。

今回八冊の日本語辞書で「花/華」を調べましたが、どの辞書にも使い分けの基準は示されておらず、二つの辞書で以下のような補足があったのみでした。

はなやかなものの意では「華」も好まれるが、用法は慣用的で狭い。

出典:『明鏡国語辞典』

一般には「花」を使う。「華」は、きらびやかで美しいもの、すぐれた性質のたとえの場合に多く使われる。

出典:『広辞苑』

「華」はもともとの漢字が持つ「華やかさや艶やかさ」という意味を持ってはいるものの、現在は「花」がその意味を表すこともできるようになり、「花」が使われることのほうが多くなっているようです。

そのため、上記のような「花」「華」のどちらを使ってもいい場合には、それぞれの漢字の意味を思い出して、咲いている花を連想させたいのか、華やかさを伝えたいのかで選択をすればいいのです。

「花」「華」の違い、まとめ

「花」と「華」のの使い分けについてこのページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

・植物の花を連想させる表現がある場合には「花」を使う。
・華やかさを表す場合には「華」が好まれる。
・「花」「華」のどちらを使っても間違いではない場合が多い。
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