牛乳のパッケージを見ると「成分無調整牛乳」「成分調整牛乳」「無脂肪牛乳」「低脂肪牛乳」「低脂肪乳」など様々なものがあります。作り方や成分によって名前が異なるのですが、その違いを表にまとめると以下のようになります。
名称 | 原料 | 種類 | 乳脂肪分 | 無脂乳固形分 |
牛乳 | 生乳のみ | 成分無調整牛乳 | 3%以上 | 8.0%以上 |
成分調整牛乳 | 規定なし | |||
低脂肪牛乳 | 0.5~1.5%以下 | |||
無脂肪牛乳 | 0.5%未満 | |||
加工乳 | 生乳+乳製品(脱脂粉乳やバターなど) | 低脂肪乳 | 1.0~1.5%以下 | |
無脂肪乳 | 0.5%未満 | |||
濃厚タイプ | 4.0~4.6%以下 | |||
乳飲料 | 生乳+乳製品+乳製品以外のもの(ビタミン、コーヒーなど) | 低脂肪タイプ | 乳固形分3.0%以上 | |
栄養強化タイプ | ||||
嗜好タイプ | ||||
乳糖分解タイプ |
このページでは、牛乳の種類や名称の違い、それぞれの特徴についてわかりやすく解説しています。牛乳だと思って購入したものが牛乳ではなかったという失敗をしないためにも、違いを確認しておいてください。
「成分無調整牛乳・成分調整牛乳・無脂肪牛乳・低脂肪牛乳・低脂肪乳」などの違い
一口に「牛乳」といっても様々な名称のものが店頭に並んでいますが、どのような違いがあるのでしょうか。
牛乳の種類は、厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」という法律で定められています。これを参考に、それぞれの違いを確認していきましょう。
「牛乳類」の種類
いわゆる牛乳パックや牛乳瓶に入って売られているものは、法律上では「乳」と呼ばれ、一般的には「牛乳類」とも呼ばれています。この「牛乳類」には、大きく分けて以下の三種類があります。
牛乳 | 牛から絞ったままの生乳に水や添加物を加えず、加熱殺菌したもの |
加工乳 | 生乳に乳製品を加えて加工したもの |
乳飲料 | 生乳に乳製品以外の原料を加えて加工したもの |
「牛乳」とは、生乳を加熱殺菌しただけものものを指します。あとで説明する「加工乳」や「乳飲料」とは違い、「牛乳」には何か別の成分や材料を加えることはできず、生乳100%でなければなりません。
一方で加工乳や乳飲料は、生乳100%ではありません。加工乳には脱脂粉乳やバター、クリームなどの乳製品が、乳飲料にはカルシウムや鉄分、あるいは果汁やコーヒーのような乳製品ではないものが加えられています。
何かを加えて加工されたものは、もはや「牛乳」と呼ぶことはできず、パッケージ等にも「牛乳」と書くことはできません。よく「コーヒー牛乳」と言いますが、実はそれは間違いです。コーヒーが加えられているので、分類上は「牛乳」ではなく「乳製品」なのです。今度コーヒー牛乳を買う時にはパッケージをよく見てみください。「牛乳」とは書いてありませんから。
このように「牛乳類」には三つの種類があるのですが、「牛乳」「加工乳」「乳飲料」は更に細かく分類されます。
「牛乳」の種類
では、「牛乳」の種類をもう少し詳しく見てみましょう。「牛乳」には以下のような種類があります。
名称 | 種類 | 乳脂肪分 | 無脂乳固形分 |
牛乳 | 成分無調整牛乳 | 3%以上 | 8.0%以上 |
成分調整牛乳 | 規定なし | ||
低脂肪牛乳 | 0.5~1.5%以下 | ||
無脂肪牛乳 | 0.5%未満 |
なお、「乳脂肪分」「無脂乳固形分」とは、「牛乳」から水分を取り除いた栄養成分を脂肪分とそうでない部分とに分けたもののことです。これらの含有量の基準も、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で定められています。
「成分無調整牛乳」とは、「牛乳」のうち加熱以外の加工が施されていないものです。名前の通り「無調整」で、これがいわゆる「牛乳」です。
「成分調整牛乳」は、生乳から水分、乳脂肪分、ミネラル等の一部を取り除くという調整をしたものです。何をどの程度取り除くかはメーカーによって違います。
先ほど「牛乳」には別の成分や材料を加えることはできないと言いましたが、成分を除去して作られたものはあり、それが「低脂肪牛乳」や「無脂肪牛乳」です。これらは生乳から乳脂肪分を取り除いたもので、残っている乳脂肪分の量により「低脂肪牛乳」と「無脂肪牛乳」に区別されます。脂肪分が少ないだけでカルシウムやエネルギーの量は変わらないので、ダイエットをしたい人におすすめです。
「低脂肪牛乳」や「無脂肪牛乳」には、安いイメージがありませんか。これらの牛乳は取り除いた脂肪分を使ってバターやチーズなど別の商品を作ることができるので、低価格で販売されているのです。
「加工乳」の種類
では、次に「加工乳」の種類を見てみましょう。
名称 | 種類 | 乳脂肪分 | 無脂乳固形分 |
加工乳 | 低脂肪乳 | 1.0~1.5%以下 | 8.0%以上 |
無脂肪乳 | 0.5%未満 | ||
濃厚タイプ | 0.5~1.5%以下 |
「加工乳」には、脂肪分を減らしたタイプと、脂肪分を高めたタイプがあります。先ほどの「牛乳」の種類の中に「低脂肪牛乳」「無脂肪牛乳」がありましたが、「加工乳」で脂肪分を減らしたタイプは「低脂肪乳」「無脂肪乳」と呼びます。一文字違いですが作り方が違うので、注意してくださいね。
「低脂肪牛乳」「無脂肪牛乳」は低価格だと書きましたが、「低脂肪乳」「無脂肪乳」はそれよりも更に安く販売されていて、その安さから「第三のビール」ならぬ「第三の牛乳」とも呼ばれています。
「牛乳」は生乳を100%使っているので原価が高く、生ものなので管理も大変です。そのため割高になってしまうのですが、「加工乳」は加工時に加える脱脂粉乳やクリームの原価が安く、また管理も容易になります。そのため、安い価格で提供できるのです。
「加工乳」には、味の濃さが特徴の濃厚タイプもあります。「特濃」や「濃厚」のような名前のついた商品を見たことがあるのではないでしょうか。濃厚タイプの加工乳は、牛乳の甘さやコクが感じられるように加工されています。ミルクの風味が良いので、パンケーキやお菓子を作るときにおすすめですよ。
「乳飲料」の種類
では、最後に「乳飲料」の種類を見てみましょう。
「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」の基準では、「乳固形分」が3.0%以上となっています。「乳固形分」とは「乳脂肪分+無脂乳固形分」のことです。
「乳飲料」は乳製品以外の様々な原料を加えて作られたものなので、その種類も様々ですが、主なものには以下のようなタイプがあります。
名称 | 種類 | 乳脂肪分 | 無脂乳固形分 |
乳飲料 | 低脂肪タイプ | 乳固形分3.0%以上 | |
栄養強化タイプ | |||
嗜好タイプ | |||
乳糖分解タイプ |
「乳飲料」にも低脂肪タイプがあり、「低脂肪乳」と呼ばれることがあります。加工乳の「低脂肪乳」と乳飲料の「低脂肪乳」があるということになりますが、成分は違うのでパッケージの成分表を見るなどして確認してください。
栄養強化タイプというのは、ミネラルやビタミン、鉄分などを加えて栄養効果を高めたものです。『毎日骨太 一日分のカルシウム』『カルシウムと鉄分の多いミルク』のような名前の商品名を聞いたことがあるのではないでしょうか。それらの商品は、このタイプです。
嗜好タイプは、コーヒーや果汁、甘味などが加えられたものです。銭湯などに行くと、瓶に入ったコーヒー牛乳やフルーツ牛乳がありますが、それらがこれにあたります。
乳糖分解タイプは、牛乳に含まれる「乳糖」の一部を酵素で分解して作られたものです。牛乳を飲んでお腹がゴロゴロするという人がいますが、それは「乳糖」をうまく分解できないからなのです。乳糖分解タイプは、あらかじめ乳糖が分解されているお腹にやさしい飲み物です。
「成分無調整牛乳・成分調整牛乳・無脂肪牛乳・低脂肪牛乳・低脂肪乳」などの違い、まとめ
様々な種類のある「牛乳類」の違い、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。
名称 | 原料 | 種類 | 乳脂肪分 | 無脂乳固形分 |
牛乳 | 生乳のみ | 成分無調整牛乳 | 3%以上 | 8.0%以上 |
成分調整牛乳 | 規定なし | |||
低脂肪牛乳 | 0.5~1.5%以下 | |||
無脂肪牛乳 | 0.5%未満 | |||
加工乳 | 生乳+乳製品(脱脂粉乳やバターなど) | 低脂肪乳 | 1.0~1.5%以下 | |
無脂肪乳 | 0.5%未満 | |||
濃厚タイプ | 4.0~4.6%以下 | |||
乳飲料 | 生乳+乳製品+乳製品以外のもの(ビタミン、コーヒーなど) | 低脂肪タイプ | 乳固形分3.0%以上 | |
栄養強化タイプ | ||||
嗜好タイプ | ||||
乳糖分解タイプ |