「観点」「視点」の違いと使い分けの例文

「観点」「視点」はどちらも「物事を見たり考えたりする立場」のことですが、①どのような物事に対して使うのか、また②どのような立場なのかという点で違いがあります。その違いを簡潔に表すと以下のようになります。

 ①どのような物事に対して②どのような立場で
観点思想や世界観など抽象的なこと広い範囲を眺めたり、長期的に見通す立場で
視点実際に目に見えるもの狭い範囲を見たり、個別・具体的に見る立場で

このページでは「観点」「視点」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

「観点」「視点」の意味と例文

まず、「観点」「視点」の辞書での意味を確認しておきましょう。

【観点】
物事を観察、考察するときに、その人の判断の根拠となる一定の立場。見地。

【視点】
1.視線のそそがれるところ。
2.(比喩的に)物を見たり考えたりする立場。観点。
3.絵画の遠近法で、視線と直角にまじわる画面上の仮定の一点。

出典:『日本国語大辞典』

「観点」の意味は一つしかありませんが、「視点」には三つあります。そして、「視点」の二つ目の意味と「観点」の意味がほぼ同じであることがわかります。ここの違いを知っておくことが使い分けのポイントになります。詳しい意味や例文を見ながら違いを確認していきましょう。

「観」「視」の漢字の意味

「観点」「視点」の違いは「観」と「視」の意味の違いと関係しているので、まずそこを確認しておきましょう。

「観」の左側の字は、口をそろえて鳴く水鳥の様子で「そろえる」という意味を表しています。それに「見」を加えた「観」は「物をそろえて見渡す、多くを並べて見比べる」という意味を持っています。

「見渡す」「見比べる」という意味からもわかるように、「観」は比較的広い範囲や長期的に物事を見る場合に用いられます。例えば、「観光」「観測」がそのよい例です。また、「観念」「観賞」のように物事の本質を考えたり、芸術の奥深さを味わったりするような場合にも用いられます。

「視」の左側は「シ」という音を表す記号です。右側の「見」は「目+人」で、「目立つものを人が目にとめる、まっすぐ目を向けてみる」という意味を持っています。「視線」のようにある方向に目を向ける場合や、「視察」のようにある特定の場所に行って状況を見る場合に用いられます。「観」と比べて「視」は見るものの範囲が狭く、また具体的に「物を見る」という意味合いを強く持っています。

このような「観」「視」の違いを「観点」「視点」も受け継いでいます。

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「観点」の意味と例文

まず、「観点」の意味と例文を見てみましょう。

「観点」は「物事を見たり考えたりするときの立場」という意味ですが、広い範囲や長期的に物事を見たり考えたりする立場の場合に用いられます。例文を見てみましょう。

・感染拡大を防止する観点から中止となった。
・長期勤続によるキャリア育成を図る観点から年齢制限を設ける。
・倫理的観点から問題のあるサイトが摘発された。

「感染拡大防止」のような広い範囲を見渡した立場や、「キャリア育成」のように長期的な見通しを持って考える立場であることを表す場合には「観点」が適切です。また「倫理的観点」のように、抽象的な物事とともに用いられます。上記の例文で「視点」が用いられることもありますが、本来の意味から考えると「観点」がより適切です。

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「視点」の意味と例文

次に「視点」の意味と例文を見てみましょう。

「視点」も「物事を見たり考えたりするときの立場」という意味ですが、「観点」と比べるとより狭い範囲を見る場合、またより具体的・物理的な見方を示す場合に用いられます。例文を見てみましょう。

・この映画は日本人の視点で描かれている。
・番組独自の視点で伝える。
・ユーザーの視点で開発された。

「日本人」「番組独自」のような個別の見方や考え方を示す立場の場合は「視点」を使うのが適切です。また「ユーザーの視点」のように、それを使う人が実際にどのように見ているのかを示す場合にも「視点」を用います。「映画」「番組」のように実際に見るもの、視線が注がれるものとともに使われることが多いのも「視点」の特徴です。上記の例文で「視点」を「観点」に言い換えると不自然です。

「観点」「視点」の比較

「観点」「視点」のどちらでも使うことができる場合がありますが、ニュアンスは異なります。そのような例文を見ながら、より理解を深めましょう。

各々の観点/視点から意見を述べる。
観点個々の人が、例えば教育、環境、政治の専門家で各分野を踏まえて意見を言う。
視点個々の人が自分の意見を言う。
高齢者の観点/視点を取り入れる。
観点高齢者を俯瞰的に見た立場、高齢化社会という立ち位置から考える。
視点高齢者が実際にどのように見たり考えたりしているのかという点を取り入れる。
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「観点」「視点」の違い、まとめ

「観点」「視点」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

 ①どのような物事に対して②どのような立場で
観点思想や世界観など抽象的なこと広い範囲を眺めたり、長期的に見通す立場で
視点実際に目に見えるもの狭い範囲を見たり、個別・具体的に見る立場で