「特徴」「特長」「特色」「特質」「特性」の違いと使い分けの例文

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「特徴」「特長」「特色」「特質」「特性」は、「他と比べたときに、そのものにしかない特別な点」を示すときに使われますが、何の・どのような点なのかによって使い分ける必要があります。違いをまとめると、以下のようになります。

 意味何のどのような
特徴他と比べて特に目立つ点人・事柄・物優れている点、劣っている点
特長優れている点のみ
特色事柄・物主に優れている点
特質他と比べたときに、そのものだけに見られる性質人・事柄・物性質自体
特性性質から生じる結果
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「特徴」「特長」「特色」「特質」「特性」の意味と例文

まず、「特徴」「特長」「特色」「特質」「特性」の辞書での意味を確認しておきましょう。

【特徴】他と比べて特に目立つ点。
【特長】他と比べて特にすぐれている点。特別の長所。
【特色】他とくらべて特に異なっている点。また、特にすぐれている点。
【特質】そのものだけが持っている特別な性質。特性。
【特性】そのものだけが備えている特別の性質。特質。

出典:『明鏡国語辞典』

残念ながら、辞書の説明だけでは意味の違いを知ることはほとんどできません。詳しい意味や例文を見ながら、それぞれの違いを確認していきましょう。

「特」の意味

「特徴」「特長」「特色」「特質」「特性」のすべてに「特」の字が使われていますので、まずその意味を確認しておきたいと思います。

「特」は「牛+寺」から出来ていて、「牛」は動物の「うし」を、「寺」は「待=じっとまつ」や「峙=じっとたつ」という意味を表しています。この二つの文字が一緒になった「特」は、「群れの中でじっと立っている牛」を表し、そこから「特出」する「特に目立つ」という意味や、「他に例がない」「それ一つだけ」という意味を持つようになりました。

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「特徴・特長・特色」の意味の違い

では、「特徴・特長・特色」の三語の違いを見てみましょう。これらはどれも「他と比べて特に目立つ点」という意味を持っています。

「特」という漢字にすでに「他と比べて特に目立つ点」という意味が表されていますので、使い分けを理解する上で必要なのは「徴・長・色」の違いを知ることになります。

「徴」は「きざし」とも読み、「物事の起こるのを予想させるしるし」や「わずかな手がかりをつかんでとりあげ表面にのせること」という意味があります。目立っていれば、わずかであっても、また優れた点だけではなく劣った点であっても「特徴」と言うことができます。

「長」は「ながい・たける」とも読み、「年長の人や年が長けている人を認めて尊ぶ」という意味を持っています。このことから「特長」は目立つ点であり、かつ長けている点や優れている点を指します。

「色」には様々な意味がありますが、「色即是空=色とは現象界の物質的存在。そこには固定的実体がなく空であるということ(『広辞苑』)」で使われるように「現象界の物質的存在」という意味も持っています。このことから「特色」は物や事柄の目立つ点を示す場合に使われることが多く、人に対して使われることはほとんどありません。また、優劣に関係なく他と異なって目立っている点であれば「特色」を用いることができますが、実際の用例としては、他より優れた点を表す場合に多く用いられます。

「特徴・特長・特色」の例文

・自由な校風が本学の特徴/特長/特色だ。
・地方の特徴/特長/特色を活かす。

上記の例文では「特徴・特長・特色」のどの言葉を使っても間違いではありません。ただ、先に説明したように意味は少しずつ違うので、何を伝えたいのかで使い分けを考える必要はあります。例えば、「自由な校風」が学校のアピールポイントであれば「特徴」よりも「特長・特色」を使ったほうが「優れている点」が強調されます。

・性格的には怒りっぽいという特徴がある。
・特徴のある歩き方

「怒りっぽい」というのは優れた点ではないので「特長」を使うことはできません。また「歩き方」が独特であることも、一般的には優れている点として評価はされないと思いますので「特徴」が適しています。また、どちらの例文も「人」について述べているので「特色」を使うことはできません。

・水に強く軽いのがこの生地の特長だ。
各人がその特長を発揮する。

「生地の特長/特徴/特色」のどれを使っても間違いではありません。しかし、三つの言葉の中で「優れている点」を示すことに特化しているのは「特長」です。そのため、そこを強調したいなら「特長」を使うのが最も適切です。

・カラフルなのが彼の作品の特色だ。
・日本語の特色の一つに敬語がある

「特色」だけではなく「特徴・特長」を使うこともできますが、「特色」が最も適していると感じられます。それは、「特色」が示す「目立ち方」によるものです。「特色」は、突出するとか際立つのとは違い、色が滲み出るような目立ち方を表します。「カラフルさ」は、ある画家の作風全体に関わる優れた点を示し、「敬語」も日本語が日本語であることの根幹に関わる優れた点であることから「特色」という言葉が最も適しています。

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「特質・特性」の意味の違い

では、次に「特質・特性」について見てみましょう。

どちらも「他と比べたときに、そのものだけに見られる性質」を表しており、「人・事柄・物」の能力、適性、性能などについて使われます。どちらの言葉にも「特」という漢字が使われていますが、ここでは「特に目立つか」や「優れているか」よりも「他に例がない」「それ一つだけ」という意味で用いられています。

「特質」はその特別な性質「自体」に焦点が当てられますが、「特性」はその特別な性質から生じる「結果」に焦点が当てられます。わかりにくいと思いますので、例文を見ながら確認しましょう。

「特質・特性」の例文

・これといった特質/特性のない男
・従来の製品には見られない特質/特性

上記の例文では「特質」「特性」のどちらを使っても間違いではありません。「男」や「製品」にしか見られない性質があるのであれば、それを「特質/特性」と言うことができます。

では次に、「特質」「特性」のどちらを使っても間違いではないが、どちらか一方のほうがより適している例文を見てみましょう。

・日本文化の特質を研究する。
彼は冷静さと忍耐強さという特質を備えていた。

・火に強い特性を生かして耐火用とする。
・海に近いという特性を利用した海洋研究機関

「特質」が使われた例文は、それぞれ「日本文化」と「彼」の持つ特別な性質が「そこにあるもの」として静的に述べられています。一方で「特性」が使われた例文は、「火に強い」「海に近い」という性質をどのように活用するのかが述べられています。このように、特別な性質そのものに焦点を当てた文脈の場合では「特質」を、特別な性質から何が生じるのか、あるいはその性質をどのように応用発展できるのかという文脈の中では「特性」を使うのがより適切です。

「特徴」「特長」「特色」「特質」「特性」の違い、まとめ

「特徴」「特長」「特色」「特質」「特性」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。それぞれの特徴の整理にお役立てください。

 意味何のどのような
特徴他と比べて特に目立つ点人・事柄・物優れている点、劣っている点
特長優れている点のみ
特色事柄・物主に優れている点
特質他と比べたときに、そのものだけに見られる性質人・事柄・物性質自体
特性性質から生じる結果
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