「児童」「生徒」「学生」は、どれも「学校で教育を受ける人」のことで、法律上で使われる場合と一般的に使われる場合では区分の仕方に違いがあります。また、「児童」は、それぞれの法律で異なる区分がされています。その違いをまとめると、以下のようになります。
法律上の区分 | 一般的な区分 | ||
児童 | 学校教育法 | 小学校※1に就学する者 | 心身ともまだ十分に発達していない幼い子 |
児童福祉法 | 18歳未満の者 | ||
労働基準法 | 15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者 | ||
道路交通法 | 6歳以上13歳未満の者 | ||
生徒 | 中学校・高等学校※2に就学する者 | 学校や塾などで先生から学ぶ若い人 | |
学生 | 大学※3、または高等専門学校に就学する者 | 学問を修める人。主に大学で勉強する人 |
※1 小学校とは、義務教育学校の前期課程、または特別支援学校の小学部を指す。
※2 中学校・高等学校とは、義務教育学校の後期課程、中等教育学校(中高一貫校)、または特別支援学校の中学部・高等部を指す。
※3 大学は、大学院、短期大学を含む。
このページでは「児童」「生徒」「学生」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。
「児童」「生徒」「学生」の意味と例文
まず、「児童」「生徒」「学生」の辞書での意味を確認しておきましょう。
【児童】
身体・精神ともにまだ十分に発達していない者。普通,小学校に在学する者をさすが,児童福祉法では一八歳未満の者をいう。
【生徒】
1.学校や塾などで教えを受ける者。
2.特に小学校の児童や大学の学生に対し,中学校・高等学校で教育を受ける者。
【学生】
学校で勉強する人。主に,大学で勉強する人をいう。
出典:『大辞林』
「児童」の意味と使い方
では、まず「児童」について詳しく見てみましょう。
「児童」に使われている「児」「童」という漢字は、ともに幼い子どもという意味を持っています。学校教育法上ではいわゆる小学生を指し、年齢でいえば概ね6歳から12歳までです。
使い方の例には、以下のようなものがあります。
・「女子児童が軽傷を負いました。」(ニュースで)
「児童集会」は小学校で行われる活動の一つです。また、ニュースや新聞では学校教育法に基づいて「児童」「生徒」「学生」の使い分けをしており、「女子児童」と言った場合は小学生を指します。
なお、「児童」は学校教育法以外では指し示す年齢が異なります。
児童福祉法 | 18歳未満の者 |
労働基準法 | 15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者 |
道路交通法 | 6歳以上13歳未満の者 |
児童福祉法により設置されている「児童相談所」や「児童養護施設」は18歳未満の者の相談や対応にあたります。
また、労働基準法では児童を労働者として使用することが禁止されていますが、この場合は15歳未満を働かせてはいけないということになります。
そして、「自転車乗車時に児童・幼児のヘルメット着用」という場合には、道路交通法の基準である13歳未満の者が対象ということになります。
「生徒」の意味と使い方
では、次に「生徒」について見てみましょう。
「生徒」の「生」には「生まれる」のほかにも「若い人」という意味があります。また、「徒」には「師から教えを受ける弟子」という意味があります。このことから「生徒」は「先生から学ぶ若い人」を表します。学校教育法上では、いわゆる中学生・高校生を指し、年齢でいえば概ね13歳から18歳までです。
使い方の例には、以下のようなものがあります。
・生徒手帳が配布された。
小学校での活動は「児童会」ですが、中学校・高等学校では「生徒会」です。また、「生徒手帳」は、中学校・高等学校で生徒に交付する校則や校歌などが記載されている生徒用の手帳です。
「生徒」は、「先生から学ぶ若い人」という意味であることから、塾に通っている人も「生徒」と呼ばれます。
「学生」の意味と使い方
では、最後に「学生」について見てみましょう。
「学生」の「生」は、「生徒」と同じく「若い人」という意味です。「学」は「先生から知恵を授かり、それを見習って自分のものとする」という意味で、「徒」と比べてより積極的な姿勢を表しています。「生徒」の学びは受動的に学習することで、「学生」の学びは能動的に学問を修めることだと言えます。学校教育法上では、短期大学・大学・大学院や高等専門学校に通う者を指し、概ね18歳以上です。
使い方の例には、以下のようなものがあります。
・全日本学生卓球選手権大会に出場する。
「学生運動」は大学生が中心になって起こした運動が始まりです。また、様々なスポーツで「全日本学生選手権大会」が開かれますが、これは大学生で構成される活動団体を対象にした大会で、大学間で競う場合もあります。
「児童」「生徒」「学生」の範囲が広い場合
ここまで「児童」「生徒」「学生」の区分が比較的明確な場合を見てきましたが、一般的にはそれほど明確ではないことも多くあります。
・児童公園で遊んだ。
・生徒指導の先生に怒られた。
・スケート教室の生徒を募集する。
・学生割引で美術館のチケットを買った。
・学食(学生食堂)のカレーライスはおいしい。
上記の例文の場合、「児童」「生徒」「学生」は幅広い年齢層を指しています。例えば、「スケート教室の生徒」は中高生に限らず、小学生や大学生、大人にも使われますし、「学生割引」も大学生だけではなく、中学生や高校生が対象になる場合もあります。
「児童」「生徒」「学生」は、以下のようなもともとの意味を拠り所にして幅広い範囲を示しながら使われることも多いようです。
児童 | 幼い子 |
生徒 | 学校や塾などで先生から学ぶ若い人 |
学生 | 学問を修める人 |
「児童」「生徒」「学生」の違い、まとめ
「児童」「生徒」「学生」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。
最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。
法律上の区分 | 一般的な区分 | ||
児童 | 学校教育法 | 小学校※1に就学する者 | 心身ともまだ十分に発達していない幼い子 |
児童福祉法 | 18歳未満の者 | ||
労働基準法 | 15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者 | ||
道路交通法 | 6歳以上13歳未満の者 | ||
生徒 | 中学校・高等学校※2に就学する者 | 学校や塾などで先生から学ぶ若い人 | |
学生 | 大学※3、または高等専門学校に就学する者 | 学問を修める人。主に大学で勉強する人 |
※1 小学校とは、義務教育学校の前期課程、または特別支援学校の小学部を指す。
※2 中学校・高等学校とは、義務教育学校の後期課程、中等教育学校(中高一貫校)、または特別支援学校の中学部・高等部を指す。
※3 大学は、大学院、短期大学を含む。