「バター」「マーガリン」「ファットスプレッド」の違いは次の通りです。
- 【バター】主原料は牛乳で、「乳脂肪」を練り固めた食品のこと。
- 【マーガリン】主原料は「植物油脂」で、バターに似た食品のこと。
- 【ファットスプレッド】油脂80%未満のマーガリンのこと。
このページでは、「バター」「マーガリン」「ファットスプレッド」、それぞれの違いと使い分け方についてさらに詳しく解説しています。
このページの目次
【バター】主原料は牛乳で、「乳脂肪」を練り固めた食品のこと。
「バター」は主な原料が牛乳で、「乳脂肪」を練り固めた食品のことです。
厚生労働省の成分規定では、以下のように定義されています。
乳脂肪分が80%以上、水分が17%以下、大腸菌群が陰性の食品。 |
- 起源:「バター」の起源は定かではありませんが、紀元前2000年、メソポタミア文明の頃には医薬品や化粧品として「バター」が作られており、紀元前60年頃から食用としても用いられるようになったといわれています。
- 形状:「バター」の形状は温度によって変化しやすく、冷蔵保存で固くなり、15℃前後でパンなどに塗りやすい柔らかさになり、30℃以上で溶け出します。
- 用途:「バター」は主成分が牛乳の脂肪分であることから、コクと深みがあり、加熱して溶かすと旨味や香りが引き立つため、素材の味が淡泊な魚の料理や、脂肪の少ない肉料理などに適しています。
- 価格:「マーガリン」に比べて値段が高いことが多く、また販売数が少ない傾向にあります。手間のかかる製法のわりには値段が安いため割に合わない、というのが「バター」の販売が少ない理由の一つになっており、また主成分である牛乳を生産する酪農家も減少傾向にあります。
- 保存期間:賞味期限は未開封の場合は6ヵ月、開封後は2週間ほどとされています。
【バター】〖butter〗牛乳から分離した脂肪分を練り固めた食品。パンに塗ったり、料理・製菓などに用いる。
三省堂「大辞林」
【マーガリン】主原料は「植物油脂」で、バターに似た食品のこと。
「マーガリン」は主な原料が「植物油脂」で、バターの代用品として作られた食品のことです。
JAS規格(日本農林規格)の成分規定では、以下のように定義されています。
油脂が80%以上、乳脂肪分が40%未満、水分が17%以下。 |
一般的には大豆油、コーン油、パーム油、菜種油などが使われており、そこに乳成分、食塩、着色料、ビタミン類などを加えて練り固められています。
「バター風味のマーガリン」などには「バター」は入っておらず、香料や塩を用いて、香りやコクを「バター」に近づけた「マーガリン」となっています。
- 起源:「マーガリン」は1869年フランスにて、「バター」の不足や値段の高騰を理由に代用品として考案され、かつては「人造バター」とも呼ばれていました。
- 形状:「バター」に比べて形状変化が少なく、10~30℃の間でパンなどに塗りやすい柔らかさを保ちます。
- 用途:味はあっさりとしており、溶けるとサラダ油などと大差がなくなります。そのため「バター」に比べて風味は劣りますが、味の主張の強い料理への使用や、食材を組み合わせて作るサンドイッチ、軽い食感のお菓子などに適しています。
- 価格:「バター」のような価格の変動は少なく、いつでも安価で購入できる傾向にあります。
- 保存期間:賞味期限は未開封の場合は6~10ヵ月、開封後は1ヵ月ほどとされています。
【マーガリン】〖margarine〗植物油・植物硬化油に乳成分・食塩・色素・ビタミン類を加えて練り固めた、バターに似た食品。一八六九年フランスでバターの代用品として製造。人造バター。
三省堂「大辞林」
【ファットスプレッド】油脂80%未満のマーガリンのこと。
「ファットスプレッド」は主原料や製法は「マーガリン」と同じで、主な違いは油脂が80%未満ということです。
JAS規格(日本農林規格)の成分規定では、以下のように定義されています。
油脂が80%未満、乳脂肪が40%未満かつ油脂中50%未満、油脂及び水分の合計量が85%以上(砂糖類、蜂蜜または風味原料を加えたものは65%以上)。 |
「ファットスプレッド」は「マーガリン」に比べて低脂肪でカロリーも低いため、一般的に主流の商品となっており、チョコレートクリームや、果実風味、カロリーオフのマーガリンなどが「ファットスプレッド」に含まれます。
- 起源:「マーガリン」と同じ。
- 形状:「マーガリン」と同じ。
- 用途:柔らかく、すぐ溶けるため、パンなどに塗りやすいという特徴がありますが、水分量が多いため加熱調理には向いていません。
- 価格:「マーガリン」と同じ。
- 保存期間:「マーガリン」と同じ。
「バター」「マーガリン」「ファットスプレッド」の違い、まとめ
「バター」「マーガリン」「ファットスプレッド」の言葉の違い、おわかりいただけましたでしょうか。
このページの最後にもう一度、それぞれの違いのポイントを以下にまとめますので、おさらいにご活用ください。
- 【バター】主原料は牛乳で、「乳脂肪」を練り固めた食品のこと。
- 【マーガリン】主原料は「植物油脂」で、バターに似た食品のこと。
- 【ファットスプレッド】油脂80%未満のマーガリンのこと。