「過ち」と「誤ち」はともに間違いや失敗という意味を持つ言葉です。
しかし、ある目的地を目指す車(または人)の間違いに例えると二つの言葉の間にある微妙な意味の違いがはっきり見えてきます。
「過ち」と「誤ち」の微妙な違いは次の点です。
- 【過ち】行き過ぎて間違える
- 【誤ち】進む方向を間違える
この二つの違いを具体的に図に表すと次の通りです。
画像出典:Travel vector created by Freepik
このページでは「過ち」と「誤ち」の意味の違いと使い分け方についてさらに詳しく解説しています。
【過ち】と【誤ち】意味の違いと使い分け方
上にも述べたように「過ち」と「誤ち」は、ほとんどの国語辞典がともに間違いや失敗という意味を持つ言葉として解説しています。
しかし『同訓異字辞典』だけが次のように二つの言葉の意味の違いを区別しています。
【過ち】行き過ぎて間違える
【過ち】
ゆき過ぎた間違い。(過誤、過失、罪過、大過)
出典:東京堂出版『同訓異字辞典』
ある目的地を目指している車(または人)が、目的地をうっかり通り過ぎてしまい、道を間違った場合が「過ち」です。
刃物を持つ手がすべり、切るべき紙を通り過ぎて自分の手まで切ってしまった場合や、男性の上司と女性の部下の関係が一線を過ぎてしまった場合なども「過ち」です。
なお「あやまち」という訓読みを持っている常用漢字はこの「過ち」だけです。
公用文や学校の答案用紙などは使い分けに迷うことなく「過ち」を使ってください。常用漢字の使用を求めれる場面で「誤ち」と書いてしまうと、それは「過ち」です。くれぐれもご注意ください。
【誤ち】進む方向を間違える
【誤ち】
くいちがう。(誤解、誤記、誤差、誤算・・以下省略)
出典:東京堂出版『同訓異字辞典』
ある目的地を目指している車(または人)が、進むべき方向を間違って目的地にたどり着けない場合に使うのが「誤ち」です。
「行き過ぎ」という要素がない場合の間違いに使われることが多い「誤ち」ですが、どのような間違いであれ「誤ち」を使ってはいけない状況があるのでご注意ください。
「誤ち」を使ってはいけない状況とは、上にも述べたとおり常用漢字の使用が厳しく求められる公用文や学校のテストの答案用紙。
また漢字の使い方の正当性にこだわる社風を持つ企業のビジネス文書なども、常用漢字では認められていない「誤ち」は使うことを避けるのが無難な選択です。
【過ち】と【誤ち】意味の違い、まとめ
「過ち」と「誤ち」の違い。このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。
最後にもう一度、このページの解説の要約を以下にまとめますので、頭の中の整理にお役立てください。
- 【過ち】行き過ぎて間違える
- 【誤ち】進む方向を間違える
- 【注意】公用文等では常用漢字の「過ち」を使う