「栄養」と「滋養」。よく似た二つの言葉の違いは以下の通りです。
- 【栄養】①体を健全にする働き。②そのために必要な成分。
- 【滋養】体を健全にするために必要な成分。
このページでは「栄養」と「滋養」の違いについて、さらに詳しい解説を行なっています。合わせてご覧ください。
【栄養と滋養】言葉の意味の違い
「栄養」と「滋養」という言葉の意味を『広辞苑』は次のように解説しています。
【栄養】
生物が外界、すなわち体外から物質を摂取し、これを同化して生長し、生活力を維持すること。また、その摂取する物質。
【滋養】
体の栄養となること。また、その食物。
出典:岩波書店『広辞苑』
上に引用した『広辞苑』の解説を読み解くと「栄養」という言葉には二つの意味が含まれていることがわかります。
一つは、体外から食べ物などを摂取し、生命を保ち体を生長させる生物としての働き。もう一つは、その生物としての働きに必要な成分です。
それに対して「滋養」という言葉は、「栄養」の二つ目の意味に当たる、生物としての働きに必要な成分という一つの意味しか持っていません。
生命を保つ働き | 働きに必要な成分 | |
栄養 | ○ | ○ |
滋養 | × | ○ |
「栄養」と「滋養」それぞれが持つ言葉の意味の範囲を一覧形式で表すと次のようになります。
この言葉の意味の範囲の違いが、「栄養」と「滋養」という言葉の意味の違いです。
【栄養と滋養】使われ方の違い
「栄養」と「滋養」という二つの言葉には、言葉の使われ方で大きく異なる点があります。
「栄養学」や「栄養士」のことを「滋養学」や「滋養士」とは言いません。一方で「滋養強壮剤」とは言っても「栄養強壮」とは言いません。
学・士 | 強壮剤 | |
栄養 | ○ | × |
滋養 | × | ○ |
この使われ方の違いからも「栄養」と「滋養」という言葉の意味の違いを導き出すことが可能です。
「栄養学」とは、人間が健康に生活し成長するために必要な栄養素や、その栄養素を摂取する食品を分析・研究する学問です。また「栄養士」とは、栄養素を摂取できる食品の指導をする資格者のことです。
一方、「滋養強壮剤」とは、体に必要な栄養素を食品以外からも補い、体の機能を強化し健康を促進することが目的です。
これら「栄養」と「滋養」それぞれ独自の使われ方から、「栄養」と「滋養」の違いを次のように区別することができます。
- 【栄養】生命を保ち健康を維持するのに必要なもの。
- 【滋養】体の機能を強化し健康を促進するもの。
【栄養と滋養】違い、まとめ
以上、「栄養」と「滋養」の違いを、国語辞典による言葉の意味の違い、使われ方の違いの二つの点から区別してみました。
このページの解説がお役に立てれば幸いです。
国語辞典による言葉の意味の違い | 使われ方の違い | |
栄養 | 体を健全にする働き。そのために必要な成分。 | 生命を保ち健康を維持するのに必要なもの。 |
滋養 | 体を健全にするために必要な成分。 | 体の機能を強化し健康を促進するもの。 |