「服用」「服薬」「投薬」。薬についての言葉の違いを簡潔にまとめると次の通りです。
- 【服用】薬をのむこと。
- 【服薬】薬を正しくのむこと。
- 【投薬】薬を与えること。
このページでは、「服用」「服薬」「投薬」の違いと使い分け方。「服」という漢字が使われている薬についての言葉の語源について解説しています。
【服用,服薬,投薬】の違い
【服用、服薬】薬をのむこと
「服用」も「服薬」も、薬をのむことという同じ意味を持っています。
ただし、薬剤師が処方して販売した薬は、薬の正しいのみ方の情報を患者に与え指導することが法律で求められています。
薬剤師法第25条の2
薬剤師は、販売又は授与の目的で調剤した時は、患者又は現にその看護にあたっている者に対し、調剤した薬剤の適正な使用のために、必要な情報を提供しなければならない。
出典:『薬剤師法』
薬ののみ方の指導のことを「服薬指導」と呼び「服用指導」とは言いません。
そのため「服薬」は、薬剤師の指導のもと、正しく薬をのむという意味で主に使われる言葉です。
一方の「服用」は、薬剤師の指導のもとで正しく薬をのむ場合も、市販薬を注意書きだけを頼りにのむ場合にも使われます。
【投薬】薬を与えること
「服用」も「服薬」も、薬をのむこと。
すなわち患者の立場の言葉であるのに対して、「投薬」という言葉は、薬を与える側、すなわち医師や薬剤師の立場に立った言葉です。
また「服用」や「服薬」という言葉が使われる際の薬は、患者が自分の意思でのむことができる飲み薬(細粒、錠剤、カプセル、液体など)のことを主に指します。
一方、患者が自分の意思では使えないか使うことが難しい注射や点滴などの場合、「投薬される」と言い表します。
【服】が使われる言葉の語源
「服用」「服薬」、そして「内服」「内服薬」。薬に関する言葉には、どうしたわけか着るものであるはずの「服」という漢字がよく使われています。
これには「服」という漢字の語源に理由があります。語源と言われている記述があるのは、古代中国に編纂された地理書『山海経(せんがいきょう)』。
この書物の中で、薬草などを「衣服」のように体にまとい病気の原因となる邪気を防ぐことを「外服」。体の中に入れて体内で邪気を防ぐことを「内服」と言い表しています。
この「内服」が、「服」が使われている薬についての語源であると言われています。
なお「服」という漢字は、着るものだけではなく「飲む」という意味や、薬などを飲む回数の単位としての意味もあります。「お茶を一服召し上がる」がそれです。
イエズス会が1603年から1604年にかけて発行した『日葡辞書(にっぽじしょ)』にも次のような記述が残されています。
【Bucuyo(ブクヨウ)】食べること。また茶、薬などを飲むこと。
出典:『日葡辞書』
【服用,服薬,投薬】の違い、まとめ
【服用,服薬,投薬】の違いは、自分で飲めるかどうかで【服用・服薬】と【投薬】に区別され、【服用・服薬】は、正しく飲むかどうかで【服用】と【服薬】に区別されます。
図で示すと次のようになります。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。