「医療」と「医学」の違いは次の三つの点で区別できます。
医療 | 医学 | |
学問か否か | 学問でない | 学問である |
科学か否か | 科学でない | 科学である |
資格 | 資格が必要 | 資格は不要 |
このページでは、これら三つの点について解説しています。
「医療」と「医学」の違い
【学問か否か】
ここで言う「学問」とは以下の引用文を意味します。
【学問】
一定の原理に従って、体系的に組織化された知識や方法。
出典:小学館『日本國語大辞典』
「医学」は「体系的に組織化された知識」に該当します。よって「医学」は学問です。
しかし「医療」は「体系的に組織化された方法」とは言えず、医師個人の経験や勘によるところが少なくありません。
同じ診療科でありながら診療方法が異なったり、医師によって治療実績に大きな違いが生じる場合もあり「体系的に組織化された方法」とは言えません。
そのため「医療」は学問ではありません。
- 【医療】学問でない
- 【医学】学問である
【科学か否か】
ここで言う「科学」とは以下の引用文を意味します。
【科学】
普遍的真理や法則の発見を目的とした体系的知識。
出典:小学館『日本國語大辞典』
学問と同じ理由により、「医学」は科学ですが「医療」は科学とは言えません。
しかし近年、統計学的に有効性が証明された「根拠に基づく医療(こんきょにもとづくいりょう、evidence-based medicine, EBM)」という新しい診療概念が重視されるようになってきました。
医師個人の経験や勘によるのではないEBMの導入により、「医療」は限りなく科学に近づいているとも言われています。
- 【医療】科学でない
- 【医学】科学である
【資格】
無資格では「医療」に従事することができません。「医療」に従事するには医師国家資格や看護師資格などが必要とされます。
医師法
第一章 総則
第二条 医師になろうとする者は、医師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。
出典:『医師法』
しかし「医学」は無資格であっても何らかの報酬・所得を得ることは可能です。
一時期、根拠のない健康情報が大手のインターネットメディアに掲載され社会問題化したことがありますが、これなどは無資格者が「医学」によって報酬を得た例と言えるでしょう。
- 【医療】資格が必要
- 【医学】資格は不要
「医療」と「医学」の違い、まとめ
上に述べた「医療」と「医学」の違いをまとめると次のようになります。
- 【医療】学問でない・科学でない・資格が必要
- 【医学】学問である・科学である・資格は不要