介護・医療現場でよく使われる「吸入」と「吸引」は目的がまったく異なります。違いは次の通りです。
- 【吸入】薬剤や蒸気などを吸い込ませること。
- 【吸引】喉に詰まった痰などを吸って出すこと。
このページでは「吸入」と「吸引」の違い。そして、同じものと思われがちな吸引器とネブライザーの違いについて解説しています。
「吸入」と「吸引」の違い
医療・介護現場での「吸入」とは、液体の薬剤を霧状に噴射して、口から喉や肺の患部に薬剤を送り込む行為。
または、精製水を喉に噴射し、喉を保湿する行為を指します。
具体的な言葉の用例は以下に引用しました。
「息切れがでたら喘息薬ワンプッシュで吸入」
出典:「教えて!goo」
「吸引」とは、自力で痰を出すことが出来なくなった人の喉に詰まった痰を、細い管を使って吸い出す行為のことです。
また、歯医者での治療中に口の中にたまった水を細い管で吸い出す行為。手術中に出血を吸い出す行為も「吸引」です。
また「吸引」という言葉は、医療・介護現場では「引く」と呼ばれることがあります。
具体的な使い方は、以下に引用する通りです。
「痰がらみしてるから食前に引いとかないと」
出典:「教えて!goo」
「吸入器」と「ネブライザー」の違い
「吸入器」と「ネブライザー」は、ともに薬液を霧状にして噴射する装置なので、同じものと思われがちですが、決定的な違いが一つあります。
それは霧状になった薬液の霧の粒子の大きさです。
「ネブライザー」から噴射された薬液の方が粒子が小さくなるため、薬液が喉や肺のより深いところまで届かせることができるのです。
画像出典:Water vector created by Freepik
また「ネブライザー」=「nebulizer」は、「噴霧器」や「薬液投与用吸入器具」と訳されています。
なお、家電量販店などで市販されている「吸入器」では、薬剤を使うことはできません。
「吸入」と「吸引」の違い、まとめ
漢字一字違いのため混乱する人が少なくない「吸入」と「吸引」ですが、それぞれの二文字目に当たる「入」と「引」に注目して区別してみてはいかがでしょうか。
- 【入】薬を喉や肺に入れる
- 【引】痰を引っ張り出す