ともに「きじゅん」と読む、似ているようで異なる二つの言葉「基準」と「規準」。両者の違いを出来るだけ簡潔に区別すると次のようになります。
- 【基準】物事を判断する手本。
- 【規準】従うべき規則、規範。
極論すると、守っても守らなくてもいいのが【基準】で、守るべきが【規準】です。このページでは「基準」と「規準」の違いについて具体例を用いて解説しています。
また、教育分野で使われる「評価基準」と「評価規準」の違いを区別するポイントについても、具体例を示しながらわかりやすくお伝えしています。
「基準」と「規準」の違いを解説
【基準】物事を判断する手本
大半の国語辞典では「基準」という言葉の意味を「ものごとの基礎となる標準」と解説しています。では、この解説にある「標準」とはどのような意味を持っているのでしょうか。
国語辞典によれば「標準」とは「判断のよりどころ、めじるし、手本」という意味を持つ言葉です。
「手本」は守るに越したことはありませんが、必ずしも守らなければならない性質のものではありません。守らなくてもペナルティー(罰則)もありません。
守った方が良いが守らなくても罰せられるようなことはない。そのゆるやかさが「基準」の特徴を際立たせているポイントです。
【規準】従うべき規則、規範。
「規準」の「規」は航空機などで方位を測定する羅針儀(コンパス)を示し、「準」はある面が水平かどうかを測定する水準器を示しています。
正確さを求められる二つの機器を表す言葉「規」と「準」によって成り立つ「規準」は、守っても守らなくても良いゆるやかな「基準」とは正反対の性質を持つ言葉です。
実際、多くの国語辞典は「規準」という言葉の解説文に「従うべき規則」「則るべき範例」「従うべき規範」という文言を用い、守るべきことであると強調されています。
規則である以上、守らなければペナルティー(罰則)を果たされる場合もあるのが「規準」です。
ここまで述べてきた「基準」と「規準」の違いを要約すると次のようになります。
- 【基準】守らなくてもペナルティーはない
- 【規準】守らなければペナルティーがある
具体例で区別する「基準」と「規準」の違い
企業が採用活動を行う際、就活学生に対して「私服でお越しください」と案内するケースが少なくありません。
こんな場合に備えて、就活セミナーなどでよく使われるのが「ビジネスカジュアルを基準にして服を選びましょう」という文言です。
さて、この就活セミナーで教えられた「基準」となる服装と比べて、色合いがやや濃くなっても薄くなっても問題はありません。
就活セミナーで示された「基準」にそこそこ似ている服をユニクロで調達しても「基準」から大きく逸脱していなければ、採用側がそれを問題にすることなありません。
しかし中学校や高校が「規準」と定めている学生服は、色やデザインはもちろんのこと、場合によっては購入する店舗も定められています。
その「規準」から色合いがやや濃い・やや薄いレベルでも許容範囲外。校則違反となりペナルティーの対象となってしまいます。
具体例を用いて述べた「基準」と「規準」の違いを要約すると次のようになります。
- 【基準】似通っていれば問題なし
- 【規準】微妙な色の違いも大問題
「評価基準」と「評価規準」の違いを解説
「評価基準」と「評価規準」の言葉の意味
教育現場で用いられる「評価基準」と「評価規準」の違いを区別するポイントは、上に述べた「基準」と「規準」の違いを区別するポイントとは異なります。
一旦、頭の中をリセットしてからお読みください。
まずは「評価基準」と「評価規準」それぞれの言葉の意味を確認しましょう。言葉の意味はウィキペディア「絶対評価」のページから以下に引用しました。
到達目標(=観点・内容)を評価規準といい、到達目標に対してどの程度到達できたかを判断する指標(=目安)を評価基準という。どちらも「ひょうかきじゅん」と読むが、意味は明確に異なるので注意が必要である。言葉を区別するために、規準を「のりじゅん」、基準を「もとじゅん」と読むことがある。
出典:ウィキペディア「絶対評価」
具体例で区別する「評価基準」と「評価規準」の違い
到達目標すなわち最終的なゴールが「評価規準」です。ここでは鉄棒の「逆上がりができるようになる」ことを「評価規準(のりじゅん)」とします。
逆上がりが出来るかどうかで子供たちを評価した場合、評価は真っ二つに別れてしまいます。逆上がりが出来る子、逆上がりが出来ない子に二分されてしまうため、三段階あるいは五段階評価が困難になります。
一方で逆上がりが出来ない子供にとって、出来る出来ないで評価されてしまうとモチベーションが上がりません。やる気がなければ出来ない子はますます出来なくなります。
そこで「評価基準(もとじゅん)」の登場です。
逆上がりが出来ない
補助板を使うことで逆上がりが出来た
補助板を使わなくても逆上がりが出来た
以上のように最後の目標である「逆上がりができるようになる」までのステップを細分化して、それぞれのステップを目標として設定したのが「評価基準(もとじゅん)」です。
評価するポイントが増えることで、評価する側はよりきめ細やかな評価が可能となり、評価される側、すなわち子供たちもモチベーションを維持しやすいというメリットがあります。
以上が「評価規準(のりじゅん)」と「評価基準(もとじゅん)」の違いです。
具体例を用いて述べた「評価規準(のりじゅん)」と「評価基準(もとじゅん)」の違いを要約すると次のようになります。
- 【評価規準】到達目標「逆上がりが出来るようになる」
- 【評価基準】経過目標「補助板使用で逆上がりが出来た」
「基準」と「規準」の違い、まとめ
最後にもう一度、「基準」と「規準」の違いを区別するポイントを以下にまとめます。頭の中の整理にご活用ください。
- 【基準】物事を判断する手本。守らなくてもペナルティーはない。
- 【規準】従うべき規則、規範。守らなければペナルティーがある。