食べ物を加熱するときなどに使う「蒸す」と「蒸かす」という二つの言葉は、お互いに似通っているので違いを区別するが難しいと思われがちです。
しかし、実は区別するのは簡単です。両者の違いは以下の通り加熱する際に柔らかくするかどうかの点にあります。
- 【蒸す】湯気や水蒸気などで加熱する
- 【蒸かす】水蒸気で柔らかくしながら加熱する
このページでは、「蒸す」と「蒸かす」の違いと使い分け方についてさらに詳しく解説しています。
「蒸す」と「蒸かす」(むす,ふかす)の違いを解説
「蒸かす(ふかす)」食材とは
「蒸す(むす)」という調理法・加熱法で作られる料理には、蒸籠(せいろ)などを使って湯気の熱と水分でしっとりとした食感に仕上げる中華まんやシュウマイ。
圧力鍋などで湯気よりも高温となる水蒸気を使って茶碗蒸し。また、蒸し魚や蒸し野菜、蒸しパンなど様々な種類があるのが特徴です。
一方で「蒸かす(ふかす)」という調理法・加熱法は、そもそも「蒸かす(ふかす)」対象となる食材そのものが限定されます。
「蒸かす(ふかす)」対象となる食材と言えば以下の4つの場合がほとんどです。そして実際に「蒸かす(ふかす)」という言葉が使われるケースは、以下の4つの食材の場合が大半を占めています。
サツマイモ
ジャガイモ
カボチャ
大豆
「蒸かす(ふかす)」だけが持つ特徴は「やわらかくする」こと
上に挙げた4つの食材に共通しているは、水分が少なくしかも食物繊維が豊富なためとても硬い食材ばかりであるということです。
これら硬い食材を、高温・高圧力の水蒸気で加熱することで、柔らかくした上に水分を与えてしっとりふっくらとした食感にするのが「蒸かす(ふかす)」という調理法・加熱法にだけある特徴です。
日本語の事典で最大規模の語彙数を誇る『日本國語大辞典』でも、「蒸かす(ふかす)」という言葉の意味の一つに「やわらかくする」を加え「蒸す(むす)」との違いを際立たせています。
【蒸かす(ふかす)】むしてやわらかくする。水蒸気で熱して温かくする。
【蒸す(むす)】湯気を通して熱する。熱気を通して熟させる。
出典:小学館『日本國語大辞典』
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「蒸す」と「蒸かす」(むす,ふかす)の違い、まとめ
「蒸す(むす)」と「蒸かす(ふかす)」の違いと使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。
繰り返しになりますが「蒸す」と「蒸かす」の違いを際立たせている点は一点。
水分が少なくしかも食物繊維が豊富なイモ、マメ、カボチャをやわらかくする働きを持っているのが「蒸かす」。それ以外は「蒸す」です。
「蒸す」や「蒸かす」とよく似た言葉に「蒸らす」があります。「蒸らす」は「蒸す」に近い加熱法ですが、「蒸す」との間に次のような違いがあります。
【蒸す(むす)】湯気や水蒸気などで加熱する
【蒸らす(むらす)】湯気の余熱で加熱する