「国語」と「日本語」の違いは次の2つのポイントから考えると、簡単に区別がつくようになります。
- 【言葉の意味の違い】英語も「国語」となり得るが「日本語」は日本語だけ
- 【授業科目としての違い】学習する人が日本人か外国人か(または帰国子女か)
このページでは「国語」と「日本語」の違いについて、さらに詳しく解説しています。
「国語」と「日本語」の違いを区別する2つのポイント
【1:言葉の意味の違い】英語も「国語」となり得るが「日本語」は日本語だけ
日本の学校の教育現場で「国語」と言えば日本語のことを指しますが、これは狭義の「国語」です。一方で広義の「国語」は自国語、すなわち自分の国の言葉のことです。
よってイギリス人にとっての「国語」は英語、フランス人にとっての「国語」はフランス語、韓国人にとっての「国語」は韓国語で、必ずしも日本語とは限らないのが広義の「国語」です。
それに対して「日本語」には狭義も広義もありません。「日本語」という言葉に日本語以外の言語を指す意味は皆無です。「日本語」はあくまでも日本語です。
以上が「国語」と「日本語」の言葉の意味の違いです。
【2:授業科目としての違い】学習する人が日本人か外国人か(または帰国子女か)
日本の教育現場で教えられている授業科目としての「国語」と「日本語」の両者の違いの区別の仕方は、言葉の意味の区別の仕方とは異なります。
授業科目としての「国語」と「日本語」はその授業を受ける者、すなわち学習する者が誰かによって区別されます。
日本の教育現場で「国語」を学習する者とは、日本語を母国語として生まれ育った人です。
日本の平均的な児童は、小学校に入学する段階ですでに約5000ものボキャブリーを持っていると言われていますが、特段の教育を受けなくとも生活環境の中で基礎力が身についている日本語を母国語として使い、生まれ育った人が学習するのが「国語」です。
一方で「日本語」を学習するのは、日本語を母国語としない人たちです。
それぞれの生まれ育った国の母国語はマスターしつつも、第二あるいは第三言語として日本語を選択した人が学習するのが「日本語」です。
また日本語を母国語としながらも日本国外で生まれ育った帰国子女のうち、生活環境の中で十分な日本語の基礎力を身につけられなかった人も「日本語」の学習者に数えられます。
日本の教育現場で教えられている授業科目としての「国語」と「日本語」は学習者が異なるため、自ずと「国語教師」と「日本語教師」も全く異質の職業となります。「国語教師」として公立学校で教壇に立つ場合には教員免許状が必要となりますが、「日本語教師」に資格はあっても国内外ともに免許制度はありません。また「国語教師」の役割が生徒の言語思考能力を高めることにあるその一方で、「日本語教師」に求められるのはテクニックとしての日本語の教授です。
「国語」と「日本語」の違い、まとめ
「国語」と「日本語」の違い、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、「国語」と「日本語」の違いを区別するポイントを以下にまとめますので頭の中の整理にご活用ください。
- 【言葉の意味の違い】英語も「国語」となり得るが「日本語」は日本語だけ
- 【授業科目としての違い】学習する人が日本人か外国人か(または帰国子女か)