ともに低い方から高い方に移動する【上る(のぼる)】と【上がる(あがる)】は、以下の通り2つのポイントから観察すると両者の違いがよく見えてきます。
【行為】「台に上る」台に上るという行為を表す
【結果】「台に上がる」台に上がったという結果を表す
【2】他動詞として使われる
【他動詞OK】「花火が上がる」→「花火を上げる」
(誰かが低所から高所に移動させる:他力)
【他動詞NG】「太陽を上らせる」とは言わない
(誰かが低所から高所に移動させるわけではない:自力)
このページでは【上る(のぼる)】と【上がる(あがる)】の違いについてさらに詳しく解説しています。
「のぼる、あがる(上る、上がる)」の違いを解説
大半の国語事典では【上る(のぼる)】と【上がる(あがる)】をまったく同じ意味を持つ言葉として解説しています。
しかし、用例を観察すると次の2点の違いが浮かび上がってきます。
【1】行為と結果
【2】他動詞として使われる
【1】と【2】、それぞれについて以下に詳しく解説いたします。
【1】行為と結果
「行為と結果」というポイントで区別しやすいのが次の一対の用例です。
「台に上がる(あがる)」
「台に上る(のぼる)」という用例が強調しているのは、「台に上る」という行為そのものです。低い所から高い所に移動する過程、と言い換えることもできます。
それに対して「台に上がる(あがる)」という用例で強調されているのは、「台に上る」行為でなく「台の上に上がった」という結果です。低い所から高い所に移動した結果です。
「台に上る(のぼる)」「台に上がる(あがる)」いずれの用例も、低い所から台の上に移動したという点では同じですが、強調されている点が違います。
- 【行為を強調する】「台に上る(のぼる)」
- 【結果を強調する】「台に上がる(あがる)」
【2】他動詞として使われる
「太陽が上る」
上記いずれの用例も、何かが人の手の届かぬ高い位置に移るという点で共通していますが、大きな違いが一点あります。
「花火が上がる」は他動詞によって「花火を上げる」と言い表すことが可能です。
しかし「太陽が上る」を他動詞によって言い表すことはできません。「太陽を上らせる」とは言いません。
つまり他動詞として使われるかどうかでで【上る(のぼる)】と【上がる(あがる)】を区別することができるということです。
これは別の言い方をすると、低い所から高い所への移動が自力なのか、それとも他力によるもなのかということでもあります。
- 【他動詞OK:他力】「花火が上がる」→「花火を上げる」
- 【他動詞NG:自力】「太陽を上らせる」とは言わない
「のぼる、あがる(上る、上がる)」の違い、まとめ
【上る(のぼる)】と【上がる(あがる)】の違いと使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。
最後にもう一度、【上る(のぼる)】と【上がる(あがる)】の違いを区別するポイントを以下にまとめますので、頭の中の整理にご活用ください。
【結果】「台に上がる」台に上がったという結果を表す
【他動詞OK:他力】「花火が上がる」→「花火を上げる」
【他動詞NG:自力】「太陽を上らせる」とは言わない