「塵(ちり)」と「埃(ほこり)」は、ともに飛び散る小さいゴミのことを意味しますが、その違いはいたってシンプル。以下の通りです。
「ちり」の方が「ほこり」より大きいと言い切るその根拠もまたシンプルです。このページでは「ちり」と「ほこり」の違いについて解説しています。
「塵(ちり)」と「埃(ほこり)」の違いと使い分けを解説
【塵 > 埃】「ちり」の方が「ほこり」より大きい、とする根拠
野球の打率などをあらわす「3割5分8厘」という数字の単位をご存知でしょうか。
「3割5分8厘」のうち「割」「分」「厘」はそれぞれ、
【割(わり)】十分の1(10%)
【分(ぶ)】百分の1(1%)
【厘(りん)】千分の1(0.1%)
をあらわし「3割5分8厘」は35.8%を意味しています。
これら「割」「分」「厘」という数字の単位は「厘」のその先にも続いており、さらに小さい数字の単位をあらわす言葉が存在します。
実は「塵」も「埃」も、この小さな数字の単位をあらわす言葉です。
それぞれ、
【塵(じん)】十億分の1
【埃(あい)】百億分の1
をあらわしています。そして、この単位が「ちり」の方が「ほこり」より大きいとする根拠です。
ちなみに「割」からはじまる「1」よりも小さな数字の単位は下記のように続きます。
割(わり)、分(ぶ)、厘(りん)、毛(もう)、糸(し)、忽(こつ)、微(び)、織(せん)、沙(しゃ)、塵(じん)、挨(あい)、渺(びょう)、漠(ばく)、模糊(もこ)、逡巡(しゅんじゅん)、瞬息(しゅんそく)、弾指(だんし)、刹那(せつな)、六徳(りっとく)、空虚(くうきょ)、清浄(せいじょう)
日常生活の中での「ちり」と「ほこり」の区別
「ちり」の方が「ほこり」より大きいものであることはお分かりいただけたかと思います。では実生活の中で「ちり」と「ほこり」はどう区別すべきでしょうか。
これについては「ちりとり」という掃除道具を基準に考えれば区別は簡単です。
「ちりとり」とは文字通り「ちり」を取る道具です。ホウキなどで掃き掃除をして「ちりとり」で集めてゴミ箱に捨てられるものを「ちり」。
掃き掃除ではキレイにできず、拭き掃除でないとキレイにできないものを「ほこり」。雑巾などで拭き取った汚れは「ちりとり」で集められないので「ほこり」です。
このように「ちりとり」を基準に区別してみてはいかがでしょうか。
参考:広辞苑による「ちり」と「ほこり」の定義
【塵(ちり)】土砂や粉末などの飛び散るもの。ほこり。
【埃(ほこり)】こまかな塵(ちり)の飛ぶもの。綿のようなごみ。
出典:岩波書店『広辞苑』
「塵(ちり)」と「埃(ほこり)」の違いと使い分け、まとめ
ここまで述べた「ちり」と「ほこり」の違いと使い分け方、ご納得いただけましたでしょうか。最後に今一度、このページで解説したポイントをおまとめいたします。
- 【塵 > 埃】「ちり」の方が「ほこり」より大きい
- 【塵(ちり)】掃いてちりとりで集めて捨てられる
- 【埃(ほこり)】拭き掃除でないとキレイにならない