「しづらい」と「しにくい」の違いと使い分け方を区別するポイント

「しづらい」と「しにくい」は漢字で書き表すとその違いが一目瞭然です。

  • 【しづらい】し辛い =「」= 苦痛を感じる場合
  • 【しにくい】し難い =「」= 単に難しい場合

このページでは「しづらい」と「しにくい」の違いと使い分け方を区別する方法について、さらに詳しい解説を行なっています。どうぞご覧ください。

「しづらい」と「しにくい」の違いと使い分け方を解説

【しづらい:心理的要因】【しにくい:物理的要因】という区別の限界

「しづらい」を使うのは心理的要因。「しにくい」を使うのは物理的要因。

上に記したように区別する説がありますが、この区別の仕方をすると迷いが生じる場合が少なくありません。

例えば足に怪我をして歩行が困難な場合を例に挙げて考えてみましょう。

怪我をして歩くのが困難という心理的なプレッシャーも働きますが、足の怪我という物理的な要因が歩行を困難にしているとも言えます。

また、そもそも日本語の国語辞典では最大級の情報量を誇る小学館『日本国語大辞典』では「しづらい」は「心理的」「物理的」両方の意味があると解説されています。

「しづらい」は「心理的要因」だけでは区別がつかないのです。

【づらい】
「恥ずかしくて入りづらい」のように心理的に抵抗が大きい意に使う場合もあり、「字が小さくて読みづらい」などように、物理的に困難である意を示すこともある。
出典:小学館『日本国語大辞典』

「しづらい」と「しにくい」を苦痛の有無で区別すると迷いが少なくなる

しかし、冒頭でも述べたように「しづらい」と「しにくい」を漢字で書き表すとその違いが明らかとなり、実際の使い分けでも迷いが生じることが少なくなります。

【しづらい】し辛い =「辛」= 苦痛を感じる場合
【しにくい】し難い =「難」= 単に難しい場合

上に例として挙げた、足に怪我をして歩行が困難な場合。肉体的な苦痛が歩行を困難にしています。心理的か物理的かで迷う余地はそこにはありません。

肉体的な苦痛、心理的な苦痛が生じる場合は「しづらい(し辛い)。ただ単に難しい場合には「しにくい(し難い)」。

それでも迷う場合は、言葉の歴史の長さが圧倒的に長く汎用性もある「しにくい」を使うようにすれば、迷いは小さくなるのではないでしょうか。

コラム:「しづらい」と「しにくい」の歴史
「しづらい」が使われだしたのは19世紀。一方で「しにくい」はその900年前の10世紀にはすでに使われており、1008年に編纂された『源氏物語』にもその用例が確認できます。
「いと立ち確れにくき草のもとなり」(『源氏物語・桐壺』)

「しづらい」と「しにくい」の違いと使い分け方、まとめ

「しづらい」と「しにくい」の違いと使い分け方、ここまでの説明でご納得いただけましたでしょうか。最後にもう一度、「しづらい」と「しにくい」の区別のポイントをおまとめいたします。

  • 【しづらい】し辛い =「辛」= 肉体的・精神的な苦痛を感じる場合
  • 【しにくい】し難い =「難」= 単に難しい場合
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