大半の国語辞典では同じ意味の言葉とされている「悲しい」と「哀しい」。「悲しい」だけが常用漢字のため迷った場合には「悲しい」を使えば間違いありません。
しかし、どうしても使い分けたい場合は、自分の身の上を嘆く場合は「悲しい」。他人の身の上を嘆く場合には「哀しい」を選ぶと使い分けが容易になります。
- 【悲しい】(自分の身の上が)つらくて泣きたくなるような気持ち
- 【哀しい】(他人の身の上が)あわれでかわいそうだと思う気持ち
- 【迷ったら常用漢字の「悲しい」を使えば間違いない】
上に挙げた「悲しい」「哀しい」の違いと使い分け方について、以下にさらに詳しい解説を記しています。どうぞご覧ください。
「悲しい」「哀しい」&「愛しい」の違いと使い分け方を解説
「かなしい」という言葉を漢字で表記すると「悲しい」と「哀しい」。そして最近では使われるケースは滅多にありませんが「愛しい」の三つのパターンが存在します。
ちなみに常用漢字では「悲しい」だけが「かなしい」と発音するとしています。
よって、公用文をはじめとして表記する漢字の正当性を求められる場合、あるいは使い分けに迷った場合には「悲しい」を使えば間違いはありません。
しかし、私的な手紙やメールなど感情の微妙な違いを相手に伝えたいときは、以下に述べるポイントで区別してください。
【悲しい】(自分の身の上が)つらくて泣きたくなるような気持ち
「悲しい」と「哀しい」を使い分けるポイントは「かなしい気持ち」の対象が自分自身の身の上に向けられているか、他人の身の上に向けられているかです。
自分の身の上があまりにもつらくて泣いてしまいたい場合は「悲しい」を使いましょう。
ただし「悲しい」は汎用性のある言葉なので、「かなしい気持ち」の対象が自分なのか他人なのか判断がつかない場合は「悲しい」を使いましょう。
【哀しい】(他人の身の上が)あわれでかわいそうだと思う気持ち
他人の苦しい状況や境遇のことを「あわれ」「かわいそう」と言いますが、この二つの言葉を漢字にすると「哀れ」「可哀想」。いずれも「哀」が使われています。
よって他人の境遇を気の毒に思い嘆く言葉に使われている「哀」を用いた「哀しい」は、「かなしい気持ち」の対象が他人に向けられた場合と区別します。
なお、この区別の仕方は以下の文献の記述を参考にしています。
「哀しい」と書いて、かわいそうで哀れと思う気持ち。
出典:小学館『類語例解辞典』
【愛しい】(愛する人の事が)たまらなく可愛いと思う気持ち
最近では「愛しい」と書いて「いとしい」と発音しますが、昔は「愛しい」と書いて「かなしい」とも発音していました。
昔の発音は「悲しい」や「哀しい」と同じ「かなしい」ですが、意味は「悲しい」「哀しい」とはまったく異なり、「愛しい(いとしい)」と同じ意味です。
「愛しい」は愛する人のことがたまらなく可愛いと思う気持ちをあらわしています。
「悲しい」「哀しい」「愛しい」の違いと使い分け方、まとめ
「悲しい」「哀しい」「愛しい」。三つの「かなしい」の違いと使い分け方、このページの情報でおわかりいただけましたでしょうか。
最後にもう一度、このページに述べた解説のおさらいとしてポイントをおまとめいたします。このサイトの情報があなたのお役に立つことができれば幸甚です。
- 【悲しい】(自分の身の上が)辛く泣きたくなるような気持ち
- 【哀しい】(他人の身の上が)あわれで可哀想だと思う気持ち
- 【愛しい】(愛する人の事が)たまらなく可愛いと思う気持ち