「舌」と「べろ」はともに脊椎動物の口の中にある肉質の器官の名称です。しかし、同じ意味を持つ言葉でありながらその使い方には以下のような違いがあります。
- 【舌】しゃべることに関する諸表現、感情表現にも使われる。
- 【べろ】最近では主に口の中の器官の意味にしか使われない。
この「舌」と「べろ」の違いと使い分け方を区別するポイントについて、以下にさらに詳しい解説を述べています。合わせてご覧ください。
「舌」と「べろ」の違いと使い分け方を解説
「舌」と「べろ」はともに、脊椎動物の口の中に突き出て食物を食道へ送り込むための役割を持った器官を意味する言葉です。
意味は同じ二つの言葉ですが、その使われ方の広がり方という点で両者には大きな違いが存在します。
【舌】しゃべることに関する諸表現、感情表現にも使われる
「舌」は人間が言葉を発する時や感情を表す時にも重要な役割を果たしていることから転じて、しゃべること・話すことに関連する表現や感情表現にも使われます。
以下に用例として挙げたように、「舌」という言葉がしゃべること・話すことや感情表現など使われる範囲が極めて広い点が、「舌」という言葉の大きな特徴です。
舌が長い(弁舌にたけている)
舌が回る(よどみなくしゃべることができる)
舌を噛む(言葉を言い間違える)
舌を鳴らす・舌を巻く(驚く、感嘆する)
舌を巻く(驚く、萎縮する)
舌鼓を打つ(美味を味わう)
【べろ】舌の俗称、主に口の中の器官の意味しか持たない
「舌」が脊椎動物の口の中の器官のかしこまった名称なのに対して、「べろ」は「舌」の俗称、すなわちくだけた表現です。
俗称か否かの違いはあるものの、ともに口の中の器官を意味する言葉です。
しかし「舌」という言葉が、舌の持つ働きや役割から転じて様々な感情表現などに使われるのに対して「べろ」は主に口の中の器官の意味としてしか使われません。
「べろ」という言葉が使われる場面・状況の限定性が、同じ意味を持つ「舌」との違いを際立たせているポイントです。
なお、平成以降は主として口の中の器官の意味だけに使われる傾向にある「べろ」という言葉も、昭和以前には「べろ」と似た形を持つものを表す言葉に転用されていました。
べろ(江戸時代の小判)
「舌」と「べろ」の違いと使い分け方、まとめ
「舌」と「べろ」の違いと使い分け方、おわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、このページで述べたことをおまとめいたします。
- 【舌】しゃべることに関する諸表現、感情表現にも使われる。
- 【べろ】最近では主に口の中の器官の意味にしか使われない。