アボカドとアボガドの違い・正しい発音を農林水産省HPで調べてみた

「アボド」「アボド」ってどっちが正しいの?そもそも「アボカド」「アボガド」って違うもの?・・・と、迷う人は少なくありません。

結論から言います。正しいのは「カ」が濁らない「アボカド」です。「カ」に濁点(てんてん)がついた「アボガド」間違った書き方です。

なので「アボカド」「アボガド」は書き方の正誤の差があるだけで違うものではありません。両者はまったく同じものです。

しかし、間違いのはずの「アボガド」をスーパーマーケットなどでよく見かけませんか?間違いだらけの理由を探るため農林水産省のホームページで調べたところ意外な事実が判明しました。

濁点なしの「アボカド」が正しい理由

農林水産省のホームページでの調査の報告をする前に、濁点なしの「アボカド」が正しいとするその理由を説明します。

理由はシンプルです。

「アボカド」は英語で書くと「avocado」となります。そしてご覧の通り「アボカド」「カ」に当たる部分は「ca」です。「ga」ではありません。

「ガ」と発音する「ga」ではなく「ca」だから「カ」が正解です。

しかし、そもそも英語と日本語のローマ字読みとでは発音が違います。「cat」と書いても「カット」ではなく「キャット」と読みますからね。

そこで念のために国語辞典の王様『広辞苑』で調べてみたところ濁点なしの「アボカド」はあっても、濁点付きの「アボガド」はまったくありませんでした。

よって濁点なしの「アボカド」が正しい書き方と言い切っても差し支えないでしょう。

「アボカド」と「アボガド」農林水産省HPで判明した意外な事実

濁点なしの「アボカド」が正しい書き方なのは上に述べた通りです。では、間違いのはずの濁点付きの「アボガド」が何故これほどまでに広く出回っているのでしょうか。

発音のしやすさも大きな理由の一つでしょう。

試しに「アボカド」「アボガド」、両方を早口でそれぞれ5回づつ言ってみてください。間違った「アボガド」の方が舌をかまずに済みますよ。

濁点なしの正しい「アボカド」よりも、濁点付きの間違った「アボガド」の方が発音しやすいのは事実ですが、それにしても間違った書き方が多すぎるのが不思議です。

発音しにくかったとしても、書くのは別問題のはずです。

そこで、間違いだらけの理由を探るため言葉の使い分けや書き方にとっても厳しい省庁で、「アボカド」などの農産物を管轄している農林水産省のホームページで調べてみました。

濁点なしの正しい「アボカド」と、濁点付きの間違った「アボガド」。それぞれを使って農林水産省ホームで検索してみたのです。

農林水産省ホームページ

濁点なしの正しい「アボカド」で検索した結果

濁点なしの正しい「アボカド」で検索した結果、579件がヒットしました。正しい書き方なので、想像していた通りそれなりの数が出てきたというのが筆者の感想です。

濁点付きの間違った「アボガド」で検索した結果

続いて、濁点付きの間違った「アボガド」で検索した結果、これは意外!正しい「アボカド」とほぼ同じと言っていいレベルの527件がヒット。

この数字からわかること。それは「アボカド」「アボガド」、どちらの書き方でもいいというのが農林水産省のスタンスだということです。

言葉の使い分けに厳しいルールを持つ省庁でありながら「アボカド」「アボガド」については両方ともOKとしている。

このことが、間違った書き方の「アボガド」が広く普及してしまっている理由の一つではないかと考えられます。

画像出典:農林水産省ホームページ

コラム:農林水産省ホームページでの調べ方
農林水産省のホームページには、ホームページの中を検索できる検索窓が付いています。ちなみにこの検索窓はグーグルがベースになっているので、仮に「アボカド」と検索しても「アボカド」と「アボガド」の両方を表示してしまいます。なかなか、かしこいんです。しかしキーワードにダブルクォーテーション(引用符「” ”」)を付けることで、
濁点なしの「”アボカド”」と検索すれば「アボカド」だけ
濁点付きの「”アボガド”」と検索すれば「アボガド」だけ
それぞれ表示されます。以上のような検索の仕方で「アボガド」と「アボカド」の二つの書き方が農林水産省でそれぞれどのくらい登録されているのかを調べました。

正しい「アボカド」が増え続けている

農林水産省では「アボカド」「アボガド」のどちらも問題なしというスタンスですが、それでも正しい書き方をする人が増えているのも確かです。

その証拠が以下に示した折れ線グラフです。

画像出典:グーグルトレンド

このグラフはグーグルトレンドと呼ばれるサイトで作ったグラフです。グーグルトレンドとは、グーグルを使っている人がどのような言葉をどれくらい検索したかを知ることができるサイトです。

ちなみに上の折れ線の青線が正しい「アボカド」、赤線が間違った「アボガド」で検索された回数をあらわし、このグラフは2004年から2017年までのそれぞれの言葉が検索された回数の推移を示しています。

このグラフによると2004年の時点では正しい「アボカド」よりも間違った「アボガド」という言葉を使っている人の数がおおよそ1.5倍。

しかし、間違った「アボガド」を使う人が少しづつ減り続けているのに対して、正しい「アボカド」を使う人が急増。2016年5月では正しい「アボカド」を使っている人が間違っている人の10倍にもなっています。

すでに一般消費者の間では正しい「アボカド」派が圧倒的多数を占めています。間違って使っていた方は今のうちに言葉の使い方を改めないと残念な人になりかねませんね。

コラム:国語辞典の神様『日本国語大辞典』に載っていない「アボカド」
「アボカド」の書き方がこれほど混乱している要因の一つに、日本国内での「アボカド」の歴史の浅さが挙げられます。日本に初めて「アボカド」が輸入されたのは約百年前と言われています。輸入された当初は英語の別名「alligator pear」を直訳した「ワニナシ」と呼ばれていたそうです。
庶民の食卓に「アボカド」が登場したのは1970年代に入ってからのこと。そのことを裏付けるかのように、1972年に刊行された全20巻からなる壮大な国語辞典『日本国語大辞典』の初版本にすら「アボカド」も「ワニナシ」も載っていません。

「アボカド」と「アボガド」の違いと正しい発音、まとめ

「アボカド」「アボガド」の違いと正しい発音、おわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、このページで述べたことをコンパクトにまとめておきます。

  • 「アボカド」が正しい発音,「アボガド」は間違った発音、両者は同じ物
  • 「アボカド」と「アボガド」の両方の書き方を農林水産省は認めている
  • 「アボカド(濁音なし)」の正しい書き方が過去十年で急増傾向にある
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